特別管理産業廃棄物管理責任者とは?必要な資格や取得方法を解説
目次
産業廃棄物には特別管理産業廃棄物とそうでない産業廃棄物があります。特別管理産業廃棄物を排出する医療機関などの事業場には、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければいけません。
ここでは特別管理産業廃棄物管理責任者の資格取得を考えている人や特別管理産業廃棄物を排出する事業場関係者に向けて、特別管理産業廃棄物管理責任者の仕事内容や資格の種類、資格の要件、取得方法などについて解説しますので、役立てて下さい。
特別管理産業廃棄物管理責任者とは
特別管理産業廃棄物責任者は、産業廃棄物のうち「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)に規定する「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのある性状を有する廃棄物」を事業活動から発生する場合に、その事業者に対して事業場ごとに選任することが義務付けられています。
これらの廃棄物は通常の産業廃棄物より厳しい管理や適正な処理が求められているため、その業務を適切に行うことが目的です。選任の要件は施行規則で規定されています。
役割
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割は、責任者として設置された事業場での特別管理産業廃棄物の管理全般にわたる業務を廃棄物処理法に基づいて適正に行うことです。
具体的な役割は明示されていませんが、たとえば特別管理産業廃棄物について、事業場からどれぐらいの量が排出されているかなど排出状況の把握、どのように処理するかという適正な処理計画の立案、保管状況の確認や委託業者の選定など適正な処理の確保などが役割となります。
特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務について解説
特別管理産業廃棄物が発生する事業者における特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務は、廃棄物処理法第12条の2第8項に定められています。特別管理産業廃棄物管理責任者の届出等を条例等で定めている都道府県・政令市もあります。
また、廃棄物処理法第30条第5項では、事業者が特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなかった場合は、30万円以下の罰金に処すると規定されているので、異動などで一時的でも欠員にならないよう注意が必要です。
特別管理産業廃棄物管理責任者になるには資格が必要
特別管理産業廃棄物管理責任者には誰でもがなれるわけではなく、環境省令で定められた資格が必要です。必要な資格は、特別管理産業廃棄物のうちの感染性産業廃棄物を排出している場合と、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を排出している場合とでは異なります。
感染性産業廃棄物を排出している現場で必要な資格
感染性廃棄物を排出している事業場を設置している事業者は、事業所ごとに下表の要件を満たす者から特別管理産業廃棄物管理責任者を選任する必要があります。
イ |
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師又は歯科衛生士 |
ロ |
2年以上環境衛生指導員の職にあつた者 |
ハ |
大学、高等専門学校において医学、薬学、保健学、衛生学若しくは獣医学の課程を修めて卒業した者、又はこれと同等以上の知識を有すると認められる者 |
(省令第8条の17第1号参照)
感染性産業廃棄物以外を排出している現場で必要な資格
感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を排出している事業場を設置している事業者は、事業場ごとに下表に示す要件を満たす者から特別管理産業廃棄物管理責任者を選任する必要があります。
|
資格・学歴 |
課程 |
修了した科目・学科 |
廃棄物の処理に関する技術上の実務経験 |
イ |
環境衛生指導員 |
|
2年以上 |
|
ロ |
大学 |
理学、薬学、工学、農学 |
衛生工学、化学工学 |
2年以上 |
ハ |
理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 |
衛生工学、化学工学以外 |
3年以上 |
|
ニ |
短大・高専 |
短大・高専 |
衛生工学、化学工学 |
4年以上 |
ホ |
理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 |
衛生工学、化学工学以外 |
5年以上 |
|
ヘ |
高校・旧制中学 |
|
土木科、化学科 これらに相当する学科 |
6年以上 |
ト |
|
理学、農学、工学に関する科目 これらに相当する科目 |
7年以上 |
|
チ |
(学歴要件なし) |
10年以上 |
||
リ |
イからチまでと同等以上の知識を有すると認められる者 |
(省令第8条の17第2号参照)
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得できる講習会の種類とは
最後に、特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得できる講習会の例を2つ紹介します。資格取得の際の参考にしてください。
JWセンター
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターであるJWセンターでは、特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得したい人に向けて講習会を開催しています。
講習会当日は約2時間半かけて行政概論を受講し、3時間ほどで特別管理産業廃棄物の処理と管理を学ぶ流れになっています。受講申し込みはWebから可能です。
医師会
医師会でも医療関係機関等を対象にした、特別管理産業廃棄物管理責任者を取得できる講習会が開催されています。少し情報が古いですが、平成22年度に一般社団法人 兵庫県医師会によって9~17時の講習会が開催されました。
なお講習会当日の内容や申し込み方法については、最新の情報を確認するようにしてください。
まとめ
廃棄物処理法では、事業者は感染性・毒性・爆発性などの性状がある産業廃棄物を排出する事業場には特別管理産業廃棄物管理責任者を配置することを義務付けています。この特別管理産業廃棄物管理責任者は誰でもがなれるわけではなく、資格が必要です。
資格は、特別管理産業廃棄物のうち感染性産業廃棄物を排出している場合と、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を排出している場合に分けられ、それぞれ大学等の終了課程や実務経験などの要件を満たす必要があります。
一方、講習会を受けて修了試験に合格すれば資格を取得できる方法もあります。実施しているのが公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターで、排出事業者特別管理産業廃棄物管理責任者講習会と医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会があり、Webで申し込みできます。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。