段ボールは産業廃棄物にあたるのか?
段ボールは産業廃棄物に該当する?
オフィスや工場などの事業所で発生した段ボールは、業種によっては産業廃棄物にあたります。主に以下の事業所から発生した段ボールが産業廃棄物となり、細かく分別するよう定められています。 ・新聞業や紙加工製造業に関連するもの ・建設業にて、新築・改築・除去によって生じたもの ・製本業・印刷物加工業・出版業で発生したもの また産業廃棄物は、廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物を指し、段ボールの分類は「紙くず」です。一般家庭ごみとは異なり、産業廃棄物は法律に沿って専門業者に依頼して処分しなければいけません。 都道府県からの許可を持たない業者に依頼すると、処理委託違反となるため注意が必要です。なお段ボールは、状態によって以下のように分かれます。 ・きれいな段ボール:リサイクルの目的となる専ら物に分類 ・汚れた段ボール:リサイクル不可の事業系一般廃棄物に分類 きれいな段ボールはリサイクルされ、汚れた段ボールは埋め立て処理や焼却処理で処分されます。 ※出典:糸魚川市.「事業系一般廃棄物及び産業廃棄物の分類表」(http://www.city.itoigawa.lg.jp/secure/10247/bunrui.pdf)(参照:2022.01.07)
段ボールの処分方法
事業所から発生した段ボールの処分方法は、主に以下3つです。 ・廃棄物処理業者に委託する ・有価買取で処分する ・不用品回収業者に依頼する 段ボールを排出した事業者は廃棄物処理法第3条により、自らの責任において処理しなければいけないと定められています。適切な方法で処分しないと違法となってしまうため、しっかりと段ボールの処分方法を把握しておきましょう。 ※出典:大阪市.「事業系ごみの分け方・出し方」(https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000051841.html)(参照:2022.01.07)
廃棄物処理業者に委託する
産業廃棄物の段ボールは、廃棄物処理業者に委託することで処分できます。業者側が他人の廃棄物を処分するには、都道府県もしくは廃棄物処理法で定められた市から許可を得る必要があります。そのため産業廃棄物処理業者へ依頼する際は、都道府県から許可を得た業者かどうか確認した上で受託してください。 業者へ段ボールの処理を委託するには、収集運搬用と処分用の委託契約書の作成が必要です。そして、事業系一般廃棄物としての段ボール処分は、一般廃棄物収集運搬業許可業者へ委託します。ただし、業者によって取り扱う廃棄物の種類が異なる場合があるため、段ボールの処分を請け負っているか確認しましょう。 ちなみに1回の段ボールの排出量が少ない場合、例外的に市区町村が有料で回収してくれるケースがあります。とはいえ区によってルールは異なるため、お住まいの自治体ホームページなどを確認してみてください。 ※出典:e-Gov法令検索 .「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137 )(参照:2022.01.07)有価買取で処分する
一見、廃棄物の段ボールですが、場合によっては業者が買い取ってくれることがあります。なぜなら、古い段ボールは新しい段ボールを作るための材料にもなるからです。 全国段ボール工業組合連合会によれば、段ボールの需要は年々高まっているといわれています。理由は、ネットショッピングやフリマアプリなどのサービスの増加に伴い、利用者が増えたことによるものです。 段ボールの需要が高まり生産量も上がっていることから、有価で買い取ってもらいやすくなっています。しかし、どのような段ボールでも買い取ってもらえるわけではありません。 ・油や液体が付着した段ボール ・雨に濡れて白くなった段ボール ・ペンキ・絵の具・ワックスなどが塗られた段ボール ・破れや傷がある段ボール 上記のような段ボールはリサイクルができないため、買い取りは不可となります。加えて段ボールの量が指定されていることもあり、少量の場合は買い取ってもらえない可能性が高いです。月間の排出量が1,000枚以上・カゴ台車15台からなど、業者によって対応可能な量が異なるため、業者へ確認しましょう。 ※出典:全国段ボール工業組合連合会.「2016年(平成 28 年)段ボールの需要予測」(https://zendanren.or.jp/data/pdf/siryo/2016yosoku.pdf)(参照:2022.01.07)不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者の中には、オフィスや工場などから出た産業廃棄物を回収してくれるところがあります。不用品回収業者であれば段ボールをはじめ、生ゴミや紙くずなどさまざまなものも回収してくれます。 ただし、中には高額請求をしてきたり不法投棄をしたりする業者もいるため、要注意です。不用品回収業者に依頼する場合は、以下のポイントを押さえた上で業者を選びましょう。 ・産業廃棄物を回収するための許可を取得しているか ・依頼したときの対応は丁寧か ・料金が分かりやすく提示されているか 特に産業廃棄物を回収するための許可を得ているかどうかは、事前に確認してください。不用品回収業者も廃棄物処理業者と同様に、都道府県からの許可を得る必要があります。 民間業者が不用品回収を行う際は、廃棄物収集運搬業許可も取得していなければいけません。許可を持たない業者へ依頼すると、不法投棄をされるなどのトラブルに巻き込まれる恐れがあるため、注意しましょう。
まとめ
一般家庭の場合とは異なり、オフィスや工場などで発生した段ボールは、産業廃棄物に分類されます。きれいな段ボールであれば専ら物としてリサイクルされ、再び段ボールを作るための材料となります。汚れているものは事業系一般廃棄物に分類され、破棄される流れです。 基本的に、産業廃棄物は区などで回収してもらえないため、適切な方法で処分する必要があります。廃棄物処理業者や不用品回収業者に依頼する際は、事前に都道府県から許可を得ているかどうか確認してください。 許可を持たない業者へ依頼してしまうと、後々大きなトラブルに発展する恐れがあります。産業廃棄物としての段ボールを処分する際は、責任を持って慎重に行動することが大切です。この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。