専ら再生物とは?品目や処分するときのポイントを徹底解説
目次
専ら再生物にはどのような物が該当するのか、わからない方は多いのではないでしょうか。
専ら再生物とは「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」のことで、「専ら物(もっぱらぶつ)」と呼ばれることもあります。専ら再生物は再生利用をする廃棄物という位置づけであるため、マテリアルリサイクルによる処理をしなければなりません。
本記事では専ら再生物の概要から品目、押さえるべきポイントまで詳しく解説します。専ら再生物への理解を深め、正しいリサイクルを進めるためにもぜひ最後までお読みください。
専ら再生物とは
専ら再生物とはどのような廃棄物のことを指しているのか、具体的に見ていきましょう。
概要
専ら再生物とは「専ら物(もっぱらぶつ)」のことで、正式名称は「専ら再生利用の目的となる一般廃棄物と産業廃棄物」です。リサイクルを目的に回収された廃棄物のことで、以下の4品目が該当します。
専ら再生物(専ら物)に含まれる4品目 |
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古紙(紙くず) |
ダンボール、新聞、雑誌、OA用紙、機密文書、雑がみ(封筒、コピー用紙、紙ファイル、メモ用紙、包装紙など)、紙くずなど |
くず鉄 |
古銅、アルミ缶、一斗缶、スチール製品、鉄くずなど |
あきびん類 |
空きびん、コップ、窓ガラス、鏡、ガラスくずなど |
古繊維 |
衣料品、シーツ、毛布、カーテン、カーペットなど |
通常、廃棄物の処理を業としておこなう場合は、自治体の許可を得なければなりません。しかし例外として、回収物が専ら再生物に限られる場合は自治体の許可がなくても回収できます。
とはいえ、廃棄物であることに変わりはないため、処分するときは廃棄物処理法(廃掃法)を遵守して処理するように決められています。
通常の廃棄物として処分が可能
専ら再生物は、通常の廃棄物としての処分も可能です。専ら再生物以外の廃棄物と同様に、自治体の許可を得た業者に依頼して処分できます。
ただし、専ら再生物が含まれている場合でも、必ずマニフェストを交付しなければなりません。
また、一般廃棄物処理業の許可を得た業者に引き渡さなければならないので、事前に許可の有無を確認してから依頼しましょう。
専ら再生物と有価物の違い
専ら再生物と混同しやすい用語として「有価物」が挙げられます。専ら再生物が再生利用を目的として処分する廃棄物のことであるのに対し、有価物は有償で売却できる物品を指します。
有価物を処分(売却)するときはマニフェストや委託契約書は不要であるものの、古物商許可が必要です。有価物を業者に引き渡すときは許可の有無を確認し、売買契約書を交わしておきましょう。
専ら再生物を処分するときに押さえるべきポイント3つ
専ら再生物を処分するときは、以下3つのポイントを理解しておきましょう。
- マテリアルリサイクルで処分する
- 処分時に委託契約書画必要
- 環境省の通知にしたがって処分する
詳しく説明していきます。
マテリアルリサイクルで処分する
専ら再生物はマテリアルリサイクルにより処分することが前提となるため、業者に引き渡したあとの処分方法をしっかり確認しましょう。マテリアルリサイクルとはリサイクル方法のひとつで、廃棄物を原料として新たな物を作ることです。
例えば、専ら再生物として回収および処分された物が新たな製品に生まれ変わる例を、以下にピックアップしてみました。
- 古紙⇒新聞紙
- ガラス瓶⇒断熱材
- アルミ缶⇒機械部品 など
専ら再生物に該当する品目であっても、マテリアルリサイクルしない場合は専ら再生物としては扱われません。
処分時に委託契約書が必要
専ら再生物を産業廃棄物として処分する場合は、委託契約書が必要となる点に注意が必要です。通常の産業廃棄物を廃棄するときに必要となるマニフェストは、交付の義務はありません。
しかし、委託契約書に沿って正しく処分されたかどうかの確認をする必要があり、適切に処理できる業者に引き渡すことが大切です。
処分時に必要な委託契約書については、各自治体で雛形が用意されていることがあります。例えば、京都市では市のホームページに「産業廃棄物処理委託標準契約書(例)」を公開しており、専ら再生物を処分するときにも使えます。
環境省の通知にしたがって処分する
専ら再生物の取扱いについては、各自治体で解釈に差があることが度々問題視されていました。しかし、令和5年2月28日付で環境省から通知が出され、専ら再生物の解釈について明確化されたので、今一度内容を確認しておきましょう。
【参考】【環境省】専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)
通知に際し、以下の3点についても補足されています。
- 使用済みのPETボトルや資源プラスチック、金属くずなどの4品目は専ら物ではない
- 廃棄物の処理を業としておこなう場合は、従来通り許可が必要。専ら再生物のみの処理を業としておこなう場合のみ、例外的に許可が不要となる
- 専ら再生物であっても、再生利用されない場合は廃棄物処理業の許可が必要
詳しくは、環境省のホームページに掲載されているので、目を通しておきましょう。
【参考】【環境省】「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)」に関する報道について
専ら再生物について まとめ
専ら再生物とは、マテリアルリサイクルされることを前提とした廃棄物のことで、以下の4品目が指定されています。
- 古紙
- くず鉄
- あきびん類
- 古繊維
専ら再生物のみを取り扱う業者の場合は、自治体の許可証やマニフェスト不要であることが特徴です。
ただし委託契約書は必須となり、マテリアルリサイクルにより処理をしなければならないため、処分方法を確認する必要があります。指定された4品目以外は専ら再生物扱いにはできないので、処分する際は注意してください。
この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。