繊維くずとは?リサイクル方法、処分方法などを解説
目次
産業廃棄物の一種に繊維くずがあります。
数ある産業廃棄物の中において排出量はとても少ないですが、それでも年々増加傾向にあり、最終処分率が高いという課題が繊維くずにはあるのが現実です。
繊維くずでも一般廃棄物に分類されれば、各市町村が定めるルールに従い処分すれば良いですが、産業廃棄物に分類されたものは産業廃棄物処理法に基づき適切に処分する必要があります。
本記事では、繊維くずについて詳しく解説。産業廃棄物としてのリサイクル方法や処分方法について詳しく紹介しているので、繊維くずの処理方法が知りたい方はぜひご覧ください。
産業廃棄物における繊維くずとは?
繊維くずとは、木綿くずや天然繊維くず、羊毛くず、布くずなど繊維でできたゴミの総称のことです。
繊維くずには一般廃棄物に分類されるものもありますが、洋服や織維製品の製造業を除く繊維工業や、工作物の新築や改築などの建築業において生じたもの、またはPCBがしみ込んだ天然繊維くずについては産業廃棄物に分類され、このことは廃棄物処理法によって定められています。
ちなみに、縫製工場など衣料生産現場より排出される端切れや裁ち落としなどは「くず繊維」と呼ばれていて、一般廃棄物に分類されます。
産業廃棄物に分類された繊維くずは、産業廃棄物法に基づき適切に処分することが、排出事業者の大事な役目であるため、取り扱いには十分に注意しなくてはいけません。
産業廃棄物の繊維くずの種類
産業廃棄物に分類される繊維くずは、発生場所によって以下のような種類があります。
|
発生場所 |
繊維くずの種類 |
|
繊維工場 |
糸くず、木綿くず、羊毛くず、麻くずなど |
|
建築現場 |
ロープ、布くず、畳、じゅうたんなど |
|
発生場所不問 |
ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含んだ天然繊維くず |
繊維工業(紡績・織布工場)や建築現場などから排出されるアクリル繊維やナイロンなどの合成繊維に関しては、「廃プラスチック類」に分類されるため注意しなくてはいけません。
合成繊維と天然繊維の両方が含まれた製品の処分方法については、各市町村や収集運搬業者などに相談して適切に取り扱うようにしてください。
<h2>繊維くずをリサイクルする方法</h2>
産業廃棄物として収集運搬業者などによって回収された繊維くずは、その後再生処理できるものとできないものに分類されます。
再生できると判断されたものは、再生工場に運ばれリサイクルされたり、何かに再利用されたりします。
再生処理できるものに分類された繊維くずは、従来ではほぐして繊維として利用するか何かの原料として再利用されることが多かったです。
しかし、最近ではそのようなリサイクルには適さない繊維くずが増えています。
ここでは、繊維くずをリサイクルや再利用する方法についてまとめているので、参考にしてください。
マテリアルリサイクル
マテリアル(materiarl)の意味は「原料」「材料」などで、処分された廃棄物を回収して、新製品の原料や材料として再利用する方法がマテリアルリサイクルです。
繊維くずをマテリアルリサイクルするには、主にウエスとして再利用する方法と、反毛としてリサイクルする2つの方法があります。
以下に、それぞれの方法を詳しく紹介します。
ウエスとしてのリサイクル方法
ウエスとは、機械の油などの汚れを拭き取るための布のことで、工業用雑巾とも呼ばれています。
繊維くずを使用しやすい適切なサイズに切ってウエスにし、再利用します。
リサイクル事業者などから古着などを仕入れて、再生工業用雑巾の製造事業を本格的に展開している企業もあり、ウエスの需要は国内外で高まっています。
反毛としてのリサイクル方法
反毛というのは、不要になった衣料や糸、布地などの繊維を、専用の機械使用し、もう一度ワタ状に戻すことで、反毛ワタは衣料の原料になります。
回収された古衣料の30%程度が、反毛されリサイクルされているのが現実です。
反毛したワタは、新しい原料が混ざられるなどして紡績して糸になり、新しい衣服に生まれ変わります。
繊維くずを処分するのにも費用がかかりますが、反毛して再利用することで無駄をなくし利益を出すことができるのです。
サーマルリサイクル
サーマル(thermal)とは、熱によるという意味で、廃棄物を焼却した際に発生する熱エネルギーを回収して利用することがサーマルリサイクルです。
繊維くずのサーマルリサイクルでは、固形燃料化(RPF燃料)して再利用されることが多くなっています。
RPF燃料は、石炭や化石燃料の代替品として多くの産業で使用されていて、日本のエネルギー自給率を上げるため燃料としても注目されています。
現状では化学石油燃料は輸入するしか手段はなく、海外へと国内のお金が流れていくだけですが、RPF燃料を増やすことにより、経済的な損失を防ぐこともできるのです。
ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルというのは、廃棄物に薬品による科学的な処理や熱処理を行い、一旦原料に戻してから再利用する方法です。
ポリエステルなどを含んだ合成繊維繊製品が、ケミカルリサイクルの対象になります。
合成繊維は、産業廃棄物のハイブラスチック類に分類されるため、廃棄処理業者に処理を依頼するときには廃プラスチック類の廃棄許可があることを確認するよう注意しなくてはいけません。
また、ケミカルリサイクルの場合には、同じ素材の衣料品を大量に集め処理しなければいけないため、リサイクルする業者側としては効率的な回収システムを構築することが必要になります。
その他のリサイクル方法
繊維くずの主なリサイクル方法には、「マテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」がありますが、その他にも中古の衣類として利用したり、動物の敷きわらに利用したりする方法もあります。
以下に、それぞれの利用法を詳しく紹介するので、気になる方はぜひ参考にしてください。
中古の衣服として利用する
繊維くずは、クリーニングなどの処理をしてキレイにした後で、中古衣類として再利用することも可能です。
産業廃棄物としての繊維くずは、他の廃棄物に比べると排出量は少ないですが、年々その量は増加していて最終処分率が高いことが課題に挙げられています。
中古衣服としての再利用は、課題解決のために大きな意味を持ち、日本では需要がないものでも発展途上国などではかなり重宝されているのが現実です。
動物の敷きわらに利用する
繊維くずの中でも、植物である畳など天然のい草からできたものは、動物の敷きわらとして再利用することができます。
敷きわらは、ペットや畜舎の防寒材などにも最適で、天然素材あることから使用した後は土に還って分解され、栄養分を含んだ柔らかい土壌を育むことになるのです。
リサイクルできない繊維くずの処理方法
繊維くずの中には、さまざまな方法でリサイクルや再利用できるものもありますが、それができない場合は、破砕や焼却などをした後で埋め立て処理されることになります。
最近ではリサイクルや再利用に適さない繊維くずが増えていて、以前にはなかったいろいろなリサイクル法も確立されてきてはいますが、全てを再利用することはできてはいません。
まとめ
繊維くずとは、木綿くずや布クズ、羊毛くずなどの繊維でできたゴミの総称で、繊維製品製造業以外の繊維工業や建設業で生じたもの、PCBがしみ込んだ天然繊維くずについては産業廃棄物に分類され、適正に処分することが廃棄物処理法によって定められています。
ただし、繊維くずは適切な方法を行うことにより、リサイクルや再利用することも可能です。
繊維くずを処分するにも多額の費用がかかるため、リサイクルや再利用することは日本経済にとっても非常に大きな意味があります。
産業廃棄物の排出事業者はそのこともしっかり考えて、繊維くずを処理する際にはリサイクルができるものなのかを判断して適切に処理しましょう。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。