産業廃棄物の自社運搬は許可不要!書類携帯や表示義務など注意点を解説
目次
産業廃棄物の「自社運搬」を検討しているものの、決まりがよくわからない、とお悩みの企業は多いのではないでしょうか。「自社運搬」において、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要ですが、遵守すべきルールが3つあります。
本記事では、産業廃棄物の自社運搬をおこなう際の義務や注意点を解説します。よくある質問も紹介するので、自社運搬についてお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
産業廃棄物の「自社運搬」とは
産業廃棄物の自社運搬とは、自ら排出した産業廃棄物を他の業者に委託することなく、自社で運搬することです。以下のケースが、自社運搬に該当します。
- 処分先の業者まで運ぶ
- 産業廃棄物を自社工場間で移動させる
自社運搬する際は、必ず守るべきルールがあります。詳しくはこのあとの「産業廃棄物を自社運搬する際の3つのルール」で解説します。
産業廃棄物の「自社運搬」は許可不要
産業廃棄物を運搬するときは、一般的に「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。しかし、自社運搬では許可や運搬車両の届け出が必要ありません。
ただし、第三者が出した廃棄物の運搬をおこなう際は「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。無許可での運搬は廃棄物処理法違反になるため、必ず覚えておきましょう。
産業廃棄物を自社運搬する際の3つのルール
自社運搬するときに守るべきルールは、以下の3つです。
- 自社運搬の基準
- 自社運搬車両の表示義務
- 必要事項の記載がある書面の携帯
自社運搬しているにも関わらずルールを守っていない場合、行政からの改善命令があります。違反を繰り返すと、刑罰や社名公表などの対象となるため、必ずチェックしておきましょう。
自社運搬の基準
廃棄物の処理および清掃に関する法律施行令により、以下の基準を守る必要があります。
- 廃棄物の飛散や流出、悪臭、騒音または振動により、生活環境の保全上支障が出ることを避ける
- 収集や運搬のための施設、車両、運搬容器などは、廃棄物が飛散・流出・悪臭が漏れるおそれがないよう措置を講じる
- 石綿(アスベスト)が含まれている廃棄物の収集や運搬は、他の廃棄物と分別する
生活環境に問題を発生させないための基準です。必ず遵守しましょう。
自社運搬車両の表示義務
産業廃棄物を運ぶ車両には、以下の表示が必須です。
表示内容 |
文字の大きさ |
---|---|
「産業廃棄物収集運搬車」の文字 |
1文字あたり5cm以上 |
氏名または会社名 |
1文字あたり3cm以上 |
車体の両側面に、識別しやすい色合いと鮮明さで表示しなければなりません。原則として、印刷した文字で表示したものを採用してください。手書きでの表示は避けましょう。
車体に直接印字をしなくても、マグネットなどで対応することも可能です。廃棄物などで表示が隠れていると表示義務違反になります。
必要事項の記載がある書面の携帯
産業廃棄物を運搬する車両には、以下の記載がある書面を常時携帯しておかなければなりません。
- 氏名もしくは名称、住所
- 運搬する産業廃棄物の種類と数量
- 廃棄物を積載した日付
- 積載した事業所の名称・所在地・連絡先
- 運搬先の事業所名・所在地・連絡先
記載内容に誤りがなければ、様式に指定はなく、紙媒体以外に電子機器(スマートフォン・タブレットなど)で携帯できます。
上記項目はマニフェストの記載事項であるため、紙マニフェストの携帯でも対応可能です。電子マニフェストの場合は、受渡確認票を持っておくことで基準を満たせます。
産業廃棄物の自社運搬に関するよくある質問
ここでは、産業廃棄物の自社運搬に関するよくある4つの質問に回答します。
- 産業廃棄物の自社運搬にマニフェストは必要?
- 県をまたぐ移動をする場合に許可は必要?
- 産業廃棄物の自社運搬で自動二輪や原付、レンタカーの利用は可能?
- 現場で出た廃棄物を下請け業者が運搬する場合、自社運搬になる?
一つひとつ確認しておきましょう。
産業廃棄物の自社運搬にマニフェストは必要?
自社運搬をおこなう際に、マニフェストの交付は必要ありません。産業廃棄物の運搬処分を他の業者へ委託するときには交付が必要です。
マニフェストは、不法投棄防止の目的で、責任の所在を明らかにするための書類です。自社運搬においては、自社に責任があることは明確なため、マニフェストを交付する義務はありません。
県をまたぐ移動をする場合に許可は必要?
廃棄物処理法第14条1項にあるとおり、自社運搬である限り、県をまたぐ移動をする際にも自治体の許可は不要です。自社運搬の基準を満たさないときは、産業廃棄物の収集や積み下ろしをおこなう自治体において、産業廃棄物収集運搬業の許可を得る必要があります。
産業廃棄物の自社運搬で自動二輪や原付、レンタカーの利用は可能?
車体の表示基準を満たしていれば、自動二輪車や原動機付自転車、レンタカーも自社運搬に利用できます。必要な情報が鮮明に見えるよう配慮し、車体の両側面に表示しましょう。
ただし、自治体によってレンタカーを使用できないケースもあるため、事前確認が必要です。
現場で出た廃棄物を下請け業者が運搬する場合、自社運搬になる?
結論、自社運搬になりません。現場で出た廃棄物を下請け業者が運ぶ場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
廃棄物処理法第21条の3第1項により、建設工事で生じた廃棄物の処理責任は元請業者にあると定められているためです。元請業者による廃棄物を下請業者が運ぶことは、自社運搬ではなく「運搬の委託」と見なされます。
産業廃棄物の自社運搬 まとめ
産業廃棄物の自社運搬をおこなう際は、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。ただし、以下のルールを必ず遵守してください。
- 自社運搬の基準
- 自社運搬車両の表示義務
- 必要事項の記載がある書面の携帯
違反すると行政からの改善命令があり、さらに違反を繰り返すと刑罰や社名公表などの対象となります。
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