災害廃棄物とは?処分するための4ステップを解説
目次
災害が発生することで生じる災害廃棄物はどのように処分すればいいのか、気になる方は多いのではないでしょうか。
台風や地震などが多い日本では、いつ災害が起きても不思議ではありません。自然災害が発生した後に起こる問題のひとつが災害廃棄物です。
災害が発生した後の復旧作業をスムーズに行うためには、災害廃棄物を迅速に処理することが求められます。万が一災害が発生した際には、どのように処理を行うのかを前もって知っておくことが重要です。
本記事では、災害廃棄物の種類や処分するまでの流れについて詳しく解説します。災害が発生したときに備えて、災害廃棄物を処理する準備を今のうちに始めましょう。
災害廃棄物とは?災害時に発生した一般廃棄物
災害廃棄物とは、自然災害によって発生した廃棄物のことです。とくに日本では地震や台風、水害などが多く、いつ自然災害に見舞われるのか予測できません。
そのため、予期せぬ自然災害が発生したときに備えて、災害廃棄物の処理方法を知っておくことが重要です。
災害廃棄物に含まれるごみには、以下のようなものが挙げられます。
- 災害がれき
- 避難所などからのし尿
- 避難生活中の生活ごみ
災害廃棄物は法律上では一般廃棄物として扱われ、市町村などの各自治体が責任を負うとされています。
災害廃棄物は従来の一般廃棄物のイメージとはかけ離れているため、産業廃棄物に該当すると認識している人も少なくありません。
しかし、廃棄物処理法では産業廃棄物を「事業活動によって発生した廃棄物」と定義されています。つまり、災害廃棄物は企業などの事業活動で生じたものではないため、産業廃棄物ではなく一般廃棄物に該当するのです。
災害廃棄物の5つの種類
災害廃棄物はさまざまな物質が混合しているため、処理するためにはまず選別する必要があります。選別は不燃物や危険物などの異物を除去して、処理物の粒度を揃えるために重要な作業です。
災害廃棄物は選別前の状態で、次の5種類に分類できます。
- 木質系混合物
- コンクリート系混合物
- 金属系混合物
- 土砂系混合物
- 津波堆積物
ひとつずつ解説します。
1.木質系混合物
木質系混合物とは、混合物のうち木質廃材が主体である物の総称です。住居などの木造建物に使われている木質廃材に限らず、生木や稲わらが含まれることもあります。
量は多いものの、判別しやすく分別が容易なので、早期のうちに他の廃棄物と分離して抜き出されます。
サイクル先へ搬出するためには、打ち込まれている釘や金具などを除去しなければなりません。
2.コンクリート系混合物
コンクリート系混合物は、鉄筋コンクリート構造の建築物の解体や倒壊などが原因で発生した、コンクリートの塊や破片が主体の混合廃棄物です。
搬出する際には可燃物・鉄筋類を除去および破砕する処理が必要になります。
3.金属系混合物
金属系混合物は鉄筋や鉄骨、金属サッシなどの鋼材が主体となる災害ごみのことです。家電製品や機械類を主体とするものを指すこともあります。
4.土砂系混合物
土砂系混合物は土砂崩れや洪水、津波などが原因で堆積した土砂・砂泥が主体であるものです。被災地域の土地柄によって、組成が異なることが特徴です。
5.津波堆積物
津波堆積物は、津波によって海底の土砂や泥状物質が巻き上げられ、陸に堆積した状態の物を指します。
2011年3月に起きた東日本大震災では、化学物質や有害物などのさまざまな処理困難物が混入した状態でした。このことから、津波堆積物に含まれる物質は被災地の状況によって異なる場合があると言えます。
災害廃棄物を処分する4つのステップ
災害廃棄物を処分する手順は、以下のとおりです。
- 被災地から排出
- 一次仮置き場に運ぶ
- 二次仮置き場に運ぶ
- 処理施設で処理
被災地を復旧させるためには、災害廃棄物を迅速に処理することが求められます。ひとつずつ見ていきましょう。
1.被災地から排出
まずは、災害発生地から廃棄物を集めて撤去作業を行います。災害廃棄物を仮置き場へ運ぶ前に、被災地でできる限り粗分別をする必要があります。
粗分別を行いつつ、人命救助や障害物除去のために道路を啓開し、救援ルートの確保にも努めなければなりません。
2.一次仮置き場に運ぶ
災害廃棄物を分別・保管・処理するために、仮置き場へ一時的に集積します。一次仮置き場では、災害現場から運ばれた廃棄物の分別および保管などを行います。
災害廃棄物を速やかに撤去するために、一次仮置き場は最も重要な場所です。
仮置き場では以下のように廃棄物の特性ごとに分類し、処理することが大切です。
- 可燃物
- 不燃物
- 資源物
分類しておけば、コスト低下や最終処分量の削減につながります。
また、災害発生現場では処理能力が低下あるいは不足しているため、他の地域の施設を活用するなど広域的な視点も大切です。
3.二次仮置き場に運ぶ
二次仮置き場は、一次仮置き場から搬出された災害廃棄物を保管および分別するための場所です。一次仮置き場ではできなかった破砕や細かな分別、焼却などの中間処理も行われます。
分別をより細かく行う都合上、二次仮置き場は運動公園や工業用地などの、ある程度の広さが必要です。
4.処理施設で処理
二次仮置き場で処理された災害廃棄物は、最終的に処理施設へと運ばれます。この処理施設において、災害廃棄物の処理や再資源化が行われることとなります。
災害廃棄物における問題点
災害廃棄物を処分するにあたって、仮置き場の確保が問題となっています。仮置き場の候補地になりやすいのが、以下のような場所です。
- 公園
- 公民館
- グラウンド
- 港湾等の公有地
- 廃棄物処理施設
ただ、上記の中でも二次災害発生のリスクや地域の基幹産業に影響があると予想される場所は、候補から外されてしまいます。
また、リストアップした候補地までの道路が災害によって損壊や冠水により使えないこともあるので、仮置き場の選定には時間と労力を要します。このように、災害廃棄物を撤去しようにも仮置き場の確保が難航し、処分がスムーズにいかないことがあるのです。
災害廃棄物をスムーズに処理するための対策
災害廃棄物をスムーズに処理するためには、あらかじめ対策を講じておくことが大切です。具体的に取るべき対策は、以下のとおりです。
- 仮置き場を選定する
- 災害発生時の対応策の計画を練る
- 国・県・市町村・組合と協力体制を構築し、協定を締結する
対策を取っておけば、仮に災害が発生したとしても、災害廃棄物を処理するための初動対応がスムーズになります。
また、各地域の住民に対しても、有事の際の対応に関する情報を公開することが大切です。情報を共有することで、万が一災害が発生した際には関係者全員が一体となり、問題解決に当たれるようになるでしょう。
災害廃棄物について まとめ
日本は自然災害が発生しやすいため、日頃から災害発生時に出る災害廃棄物の処理方法を理解しておくことが大切です。
災害が発生したら最も優先されるのは人命救助ですが、廃棄物に起因する周辺環境への悪影響や火災リスクなどが付きまといます。
災害廃棄物を撤去するためには、仮置き場の選定をはじめとしたさまざまな準備が必要です。
災害廃棄物を迅速に撤去することができれば、大規模な災害が起きたとしても、復旧の早期化が期待できると言えるでしょう。
京都市から一般廃棄物収集運搬業の許可を得ている山本清掃は、災害廃棄物の処理も対応しております。2016年に起きた熊本地震では環境省・熊本県からの要請を受けて、災害廃棄物処理業務の支援活動も行った実績があります。
災害廃棄物を処理についても、ぜひ山本清掃にご相談ください。山本清掃は電話・メール・LINE相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。