太陽光パネルの廃棄方法と費用相場を紹介
目次
太陽光パネルは太陽光発電のための機器の一つで、エコな発電法であることから設置が推奨されています。太陽光発電自体がまだ新しい発電方法のため、まだあまり話題になりませんが、太陽光パネルの寿命は20~30年が平均です。
また日本は台風の通り道になりやすい国なので、寿命が来るまでに天災で破損したり故障したりして交換が必要になることもあるでしょう。今回は太陽光パネルの廃棄方法とその費用相場を紹介します。太陽光パネルを設置している方は、ぜひ参考にしてください。
太陽光パネルは産業廃棄物として処分する
太陽光パネルは鉛、カドミウム、セレンなどをはじめとする有害物質を含んでいることから、産業廃棄物扱いで処分しなければなりません。自分で分解して、自治体に「家庭ゴミ」として処分を依頼できないため注意が必要です。太陽光パネルを廃棄する場合は、資格を持つ専門業者に依頼しましょう。
無理に自分で処分しようとしたり、資格のない業者に依頼したりすると違法になる可能性もあります。怪しげな業者に依頼すると、太陽光パネルを不法投棄される恐れもあるでしょう。
そうなると、環境破壊にもつながります。
また、屋根に設置している家庭用の太陽光パネルは、不慣れな業者に依頼すると電気接続を切るための専門スキル不足や、高所であることやガラス製であることからけがのリスクも懸念されます。
廃棄する前に検討したいこととは
太陽光パネルは設置して一定期間はFIT制度(固定価格買取制度)が設定されています。しかしそれが満了すると、売電収入に関しては多くを期待できません。
すると「まだ使えるけれど太陽光パネルを処分したい」と考える人もいるかもしれませんが、簡単に決めてしまうのはもったいないです。
そこで、この章では太陽光パネルを廃棄するまえに検討したい活用方法を紹介します。
蓄電池を使って非常用電源にする
10kWh以上の家庭用蓄電池を導入すれば、発電した電気を蓄電して非常用電源として活用できます。
非常用電源として太陽光パネルで発電した電気を確保しておくと、災害などが起こっても電気を使うことができるので安心です。災害の影響で停電しても、エアコンや扇風機、電気ストーブなどの家電を使用できます。高齢者や子ども、ペットなど室温の変化で体調を崩しやすい人がいる家庭でも、非常用電源があればとても心強いでしょう。
また電気自動車用を接続できるようにすれば、太陽光パネルで発電した電気を使って自宅で充電できるようになります。充電ステーションに行かなくてすむだけでなく、維持費の節約にもつながるでしょう。
家庭用の主電源として活用する
売電しなくても太陽光発電を家庭の主電源として活用すれば、光熱費を大幅に節約できます。
燃料費調整額の値上がりや電力会社によるプラン料金の値上げを受け、電気代は2021年から段階的に引き上げられています。毎月の光熱費の高さに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
しかし太陽光パネルがあれば発電した分の電気を無料で使用できます。したがって電力会社から買っていた電力量が減り、電気代の節約につながります。季節によって多少の増減はあるものの、電気代がどんどん上がっている現在の日本では太陽光パネルを家庭用の主電源として活用するメリットは大いにあるといえるでしょう。
太陽パネルを処分する方法とは
老朽化などで太陽光パネルを処分する場合、いくつかのタイミングが考えられます。ここでは、シチュエーション別に太陽光パネルを処分する方法について紹介します。
住宅の建て替え・リフォームで撤去したい場合
住宅の建て替えやリフォームなどで太陽光パネルを撤去したい場合は、解体業者に依頼します。太陽光パネルが搭載された家を解体する場合、太陽光パネルを撤去できる資格を持った業者が行うのが一般的です。
撤去された太陽光パネルは、解体業者がリサイクル業者に太陽光パネルを引き渡して処分を依頼します。
なお撤去費用は解体費用に含まれているので、改めて支払う必要がありません。撤去費用の具体的な金額を詳しく知りたい場合は、内訳を記載した見積もりを発行してもらいましょう。
パネルの寿命・不具合で取り替えたい場合
太陽光パネルが一般家庭の屋根に設置されるようになってまだ20年未満です。そのためこういった事例はまだ少ないですが、これから増えていく可能性が高いでしょう。
太陽光パネルの不具合や寿命で交換する場合は、太陽光発電システムの設置をした施工会社か販売会社が設備撤去を行います。このときはすべて施工会社や販売会社に任せて大丈夫です。太陽光パネルを設置した会社の連絡先は控えておきましょう。
なお転居などで太陽光パネルを撤去する場合も同様です。万が一、設置した会社がなくなっていた場合も連絡先は残されていることが多いので、まずは確認してみましょう。連絡すれば、後は業者に任せておけば大丈夫です。
災害などでパネルが破損した場合
災害などでパネルが破損した場合、屋根の上についているか、地上に落下したかで対応が変わります。屋根についている場合は、設置した会社に連絡して修繕してもらうか交換してもらいましょう。
一方地上に落下した場合、法律上は一般廃棄物として扱われます。そのため、ご自身でお住いの自治体にある廃棄物担当窓口に連絡し、処分方法を相談してください。
先ほども説明した通り、粗大ごみとして回収してもらうことはできないので、使用済の太陽光パネルの回収・再利用サービスを行っている業者に処分を依頼しましょう。
なお落下したパネルはまだ通電している可能性があります。感電やけがの危険性があるため、決して触ってはいけません。撤去自体も施工会社や処分業者に任せてください。
太陽パネルの廃棄処分にかかる費用の目安
太陽光パネルを廃棄処分にする場合は費用がかかります。ただし費用は撤去を依頼する会社、太陽光パネルの状況などによって異なります。処分費用を正確に知りたい場合は、複数社に相見積もりをとることをおすすめします。
ここでは太陽光パネルを廃棄処分する際に必要な費用について、その内訳を解説していきます。ぜひ参考にしてください。
撤去費用
撤去費用とは文字通り太陽光パネルを撤去する費用です。足場を組み、1枚ずつ撤去するため足場代と撤去する費用がかかります。小さい家でも一戸建てならば20万~30万円ほど必要です。
なおこれに屋根の修繕費用がかかります。部分補修ならば数十万円で大丈夫ですが、ふき替えとなると100万円近くかかることもあるでしょう。
処分・運搬費用
撤去したソーラーパネルはしかるべき場所に運び、所定の方法で処分しなければなりません。そのための費用が必要です。処分費用はパネルの枚数によって異なり、運搬費用は処分場までの距離によって変わっていきます。
なお処分費用や撤去費用は無料になることはありません。「無料で処理・運搬する」といった業者はほぼ悪徳業者と考えていいでしょう。
太陽光パネルの廃棄問題
太陽光発電パネルの廃棄コスト相場は、50 kW以上の産業用の場合1kWあたり2万円前後といわれています。18kg以下の重さの単結晶ソーラーパネルは、1枚あたり1,200円程度で処分してもらえます。
太陽光パネルを設置するメリットはしっかりと説明を受けることが多いですが、廃棄の際にかかる費用についてよく知らないケースはめずらしくないでしょう。このため、いざ廃棄になった際に太陽光パネルの費用を払えないというケースも増えていくと予想されます。
その結果無料の業者への依頼が多くなり、太陽光パネルの不法投棄も増える可能性もあり得るでしょう。
前述したように、太陽光のパネルは有毒物質が多量に含まれているので、新たな環境問題がおきることも考えられます。設置から20年未満の太陽光パネルは寿命を迎えるまでまだ少し時間に猶予があります。このため太陽光パネルを保有している個人や企業は、廃棄までにある程度見通しを立てておく必要があります。
2022年7月から廃棄費用の積立が義務化
このように廃棄するのに安くない費用がかかる太陽光パネルですが、2022年7月1日から、太陽光発電に関する廃棄費用の積立制度が始まりました。しかし太陽光パネルを設置しているすべての事業者や個人に対して義務付けられるわけではありません。当面は10kW以上の発電事業者のみ(全量・余剰共に)です。
しかしまずは規模が大きいところから行うことで、積立金の優位性が広く知られるようになるでしょう。この積立金は20年のFIT制度のうち、半分の10年間で積み立てられます。そして廃棄費用はこの積立金の中から支払われます。
廃棄費用が予想以上にかかった場合は、持ち出しとなりますが、それでも全額負担するよりはかなり楽になるでしょう。なお積立方式は原則的に売電の費用から差し引かれる外部積み立て方式がとられます。
太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について詳しく知りたい方は、以下サイトで確認みましょう。
太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について|資源エネルギー庁
太陽光パネルを廃棄したあとに気を付けたいポイント
最後に太陽光パネルを廃棄した際に気を付けたいポイントを紹介します。廃棄以外の費用リスクについて触れているので、ぜひ参考にしてください。
雨漏り
一般住宅に設置される太陽光パネルは、屋根の上に設置します。このため撤去する際に不慣れな業者が行うと屋根を傷めてしまうこともあるでしょう。屋根の修繕が的確に行われないと、雨漏りがすることもあります。
太陽光パネルが乗った屋根の状態は、1件1件異なります。ほとんど傷んでいないこともあれば、大がかりな修繕が必要なことがあるでしょう。このため撤去した後は可能ならば屋根の専門業者に状態を診てもらうことが大切です。そうすれば雨漏りを防ぐことができます。
再利用計画
空き地を利用して太陽光発電をした場合、土地の用途を雑種地にしている方が多いでしょう。雑種地は固定資産税が宅地に次いで2番目に高く設定されているため、そのままにしておくと高い税金を払い続けることになります。このため太陽光発電を廃業する場合は、その後の土地の再利用計画もしっかりと立てておきましょう。産業用の大規模な太陽光パネルを設置しない場合は、山林や畑などの地目に変更すると、税金対策にもなります。
まとめ
今回は太陽光発電のパネルを廃棄する方法や費用について解説しました。太陽光パネルを廃棄するのは、なかなか手間がかかります。また費用も安くはありません。しかし今すぐ費用がかかることはないので、「廃棄するには時間と費用がかかる」と覚えておきましょう。
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この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。