産業廃棄物処理のkgの単価は?費用を抑えるコツ、業者選びのポイントも
目次
事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合、その種類や重量に応じた費用を処理業者に支払うことになります。
事業者は産業廃棄物処理の最終責任を負っているため、悪質な処理業者に委託してしまうと事業者が罰則規定を受ける可能性も考慮しなければなりません。費用の安さだけで安易に処理業者を選ぶのではなく、法や規則を遵守してきちんと処理を行ってくれるところを選びましょう。
とはいえ事業者もビジネスをしている以上「産業廃棄物処理にかかる費用はなるべく抑えたい」と考えるのも当然です。
この記事では処理にかかる費用を抑えるポイントや、適切な処理業者を選ぶために確認しておきたい項目などを説明します。
産業廃棄物の処理の料金は処理業者によって異なる
事業者が産業廃棄物の処理を行う際、事業者自ら行うか、処理業者に委託するかどちらかの方法を取ることになります。
事業者が自ら行う場合、産業廃棄物の収集・運搬から中間処理、最終処分まで、すべての設備をそろえて自前で行うのは現実的に難しいでしょう。そのため、ほとんどの場合は専門の処理業者と委託契約を結び産業廃棄物の処理を委託することになります。
処理にかかる費用は産業廃棄物によって処理・廃棄方法などが異なるため、種類ごとにkgあたりの単価が決められています。この単価は処理業者ごとにそれぞれ異なる価格設定がされています。
産業廃棄物の処理にかかる料金(kgあたりの単価)は?
産業廃棄物の処理には、具体的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。一例として、弊社の料金表を記載します。
品目 | 諸条件 | 処分単価 |
備考 | |
---|---|---|---|---|
混合廃棄物 | ||||
① | 可燃性混合廃棄物 | 廃プラ・木・紙 | 50円/kg (税込55円) |
|
② | オフィス系混合廃棄物 | 8,000円/m³ (税込8,800円) |
||
③ | 混合廃棄物 | 比重0.25未満 | 12,000円/m³ (税込13,200円) |
|
④ | 混合廃棄物 |
比重0.25以上 | 70円/kg (税込77円) |
|
別料金及び、単一品目料金 | ||||
⑦ | 廃プラスチック類/リサイクル可 | 50円/kg (税込55円) |
||
⑧ | 廃プラスチック類/リサイクル不可 | 60円/kg (税込66円) |
||
⑨ | 発泡スチロール | 200円/kg (税込220円) |
||
⑩ | クロス・ふすま | 60円/kg (税込66円) |
||
⑪ | 畳 | 55円/kg (税込60円) |
||
⑫ | 木くず | 40円/kg (税込44円) |
||
⑬ | 生木 | 55円/kg (税込60円) |
||
⑭ | がれき類・コンクリートガラ・ALC・レンガ(耐火レンガ混入不可) | 35円/kg (税込38円) |
||
⑮ | ガラス陶磁器くず・ビン・タイル・アスファルトガラ(ミンチ状廃棄物) | 50円/kg (税込55円) |
||
⑯ | グラスウール・タイルカーペット サイディングボード・FRP 防水シート・長尺シート |
14,000円/m³ (税込15,400円) |
||
⑰ | 石膏ボード/リサイクル可 | 紙・クロス可 | 16,000円/m³ (税込17,600円) |
|
⑱ | 処理困難物 | 80円/kg (税込88円) |
石膏ボード・木毛セメント板・サイディング木片チップ等の混入 | |
⑲ | タイヤ | ホイール 混入可 | 65円/kg (税込71円) |
ノーパンクタイヤ不可 |
⑳ | スプリングマット | 150円/kg (税込165円) |
||
㉑ | 自転車 | 70円/kg (税込77円) |
||
㉒ | 金庫 | 200円/kg (税込220円) |
※価格は2021年5月1日改定
https://www.yamamoto-mrc.co.jp/service/price.html
産業廃棄物の処理費用をなるべく安くするポイント
事業者が事業活動を行う以上、産業廃棄物が出ることは避けられずその処理にはどうしても費用がかかってしまいます。この費用を抑えるためには、なるべく単価の安い処理業者を選ぶしか方法はないのでしょうか。
しかし、価格の安さだけで決めてしまうのは悪質な処理業者に依頼しトラブルにつながるリスクもあります。
処理業者は各地域に多くありますが、事業者側の工夫次第で産業廃棄物の処理にかかる費用を安くすることも可能です。ポイントは、産業廃棄物の「分別」と「排出削減」です。具体的な内容について詳しく説明します。
産業廃棄物を分別しておく
処理業者に委託する前に産業廃棄物を分別しておくことで、処理にかかる費用を節約できる可能性があります。
複数の種類の産業廃棄物が混ざったまま処理業者に回収される場合、含まれている種類の中で一番単価の高い産業廃棄物の単価が全体に適応されますが、分別してから回収を依頼すればそれぞれの種類に対応した単価が適用されるため、結果的に費用を抑えられるでしょう。
また、リサイクルできるものはリサイクルとして回収を依頼するとさらに費用は安くなります。
このように、あらかじめ産業廃棄物を分別しておけば別の種類として個別に回収してもらうことが可能です。「委託したのだからすべて処理業者任せ」ではなく事前にできることはやっておく。事業者側での取り組みが費用を節約することにつながるのです。
工場の設備を見直す
産業廃棄物の処理にかかる費用は1kgあたりの単価を元に計算されます。つまり排出する産業廃棄物の重量が少なければ、処理にかかる費用も安くなるでしょう。事業者側でもゴミの削減目標を設定するなど、さまざまな取り組みを行う余地はあります。
その中でも特に効果が期待できる対策として、工場の設備の見直しが挙げられます。
古い設備を使い続けていることで廃棄物が余分に発生しているかもしれません。より質の高い設備へ更新して性能・効率が上がることで、排出される廃棄物が削減されることにもつながるでしょう。また、他の費用の節約にもつながる可能性があります。
初期費用はかかりますが、設備を見直してみることで長期的に見ると費用が節約できるかもしれません。設備を更新することで、いくら位の節約になるのか、長期的な視点で全体的に見直してみるのも一つの方法です。
委託する廃棄物処理業者選びが大切!
産業廃棄物の処理を委託する際には、単価の安いところではなく許可を得た処理業者を選ぶことが重要です。産業廃棄物の処理は処理業者に引き渡したから終わりではありません。事業者にはマニフェストを通じて産業廃棄物が最終処理されるまで確認する責任があります。
もし無許可の処理業者に処理を委託してしまった場合、それを知っていたか否かに関わらず違法となり事業者に罰則規定が適用されてしまうのです。さらには悪質な処理業者に委託することで、法・規則を守らず産業廃棄物を処理されてしまったり、料金表にない追加料金を請求されたりするなど、後々のトラブルにつながる可能性もあります。
結果的に事業者側の責任となるだけでなく、余計な費用・負担がかかってしまうことになりかねません。
では、安心できる処理業者を選ぶためにどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。意識したいポイントを以下の項目ごとに説明します。
認可業者であるかしっかり確認する
まずは委託先の処理業者が産業廃棄物運搬・処理の許可を得ているかどうかを確認しましょう。一定の適合条件を満たし許可を得た処理業者のみが、産業廃棄物の運搬や処理を行えます。
無許可の処理業者や委託する種類の産業廃棄物を取扱えない処理業者に依頼した場合、事業者に罰則規定が適用されます。また、処理業者と契約を結ぶ際は、契約書の記載内容に間違いがないか、内容に漏れがないかなど内容をよく確認することも大切です。
許可に関する情報は、処理業者や都道府県などのサイトから情報をチェックすることができます。
委託の際にマニフェスト(管理票)の写しを発行してもらう
きちんとした処理業者であれば、産業廃棄物の委託の際に「マニフェスト」と呼ばれる管理伝票の受け渡しが行われます。マニフェストは産業廃棄物に伴って移動するため、産業廃棄物が現在どのような状況にあるのか、事業者がマニフェストから確認することが可能です。
事業者には委託した産業廃棄物が適正に最終処分されたか、マニフェストを通じて最後まで確認を行う責任があります。
環境省が推奨する「優良産廃処理業者」の認定を受けている
「優良産廃処理業者」とは通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした処理業者のみに与えられる認定です。必須項目ではありませんが、この認定を受けている処理業者であれば「遵法性」「事業の透明性」「環境配慮の取組」などで一定の基準を満たしていると考えられます。
そのため許可を得ている処理業者の中でもより信頼して産業廃棄物の委託を行うことができるでしょう。優良産廃処理業者は環境省のサイトから検索することが可能です。
まとめ
産業廃棄物の処理を委託する際は処理業者の見極めが重要です。単価の安さだけで処理業者を選んでしまうと、大きなリスクがあるほか後々のトラブルにつながってしまうかもしれません。
事業者に落ち度がなくても処理業者の違反によって、事業者に責任が追及されてしまうこともあるためです。
そのため、安心して処理を委託できる業者を慎重に選ぶべきでしょう。
京都市及びその近郊で産業廃棄物の委託処理を考えているなら、環境省が推奨する「優良認定事業者」の認定を受けている山本清掃までぜひ相談ください。
関連記事
この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。