産業廃棄物の蛍光灯を処分する際の注意点は?処分方法や業者選びのポイントを解説
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使用済みの蛍光灯は産業廃棄物に当たるため、処分する際は注意する必要があります。一般家庭に比べて法人は処分する蛍光灯の数が多いため、専門の業者に依頼するのも一つの方法です。 本記事では、蛍光灯の処分が必要な法人に向けて蛍光灯を廃棄する際の注意点や具体的な処分方法などを解説します。また、産業廃棄物の収集業者を選定する際のポイントなども解説しているため、ぜひ参考にしてください。
蛍光灯の廃棄には注意が必要?
法人が蛍光灯を廃棄する場合はいくつか注意点があります。誤った処理方法で廃棄すると、法律で罰せられる可能性もあるため注意が必要です。以下では、蛍光灯の廃棄の際に気をつけたい注意点を解説します。
蛍光灯には有害物質が含まれる
蛍光灯は蛍光管内に水銀ガスを注入して電流を通し、発生した紫外線が蛍光管内に塗布された蛍光塗料に当たることで発光します。蛍光灯は有害物質の水銀や蛍光塗料が使用されているため、燃えるゴミには出せません。 蛍光灯には、安定的に点灯させるために安定器と呼ばれる器具が使用されています。安定器の中には、処分が難しいとされるポリ塩化ビフェニル(PCB)を使用したものもあるため注意が必要です。 PCBとは有害物質の一種で、体内に取り込まれると吹出物などの皮膚症状や食欲不振、しびれなどの中毒症状が発生する恐れがあります。使用済みの蛍光灯を処分する場合は、PCBが使用されているかどうかの確認をしておくことが大切です。法人の蛍光灯は産業廃棄物として処分する必要がある
法人から出た使用済みの蛍光灯は、上述したように水銀やPCBなどの有害物質を含む可能性があることから産業廃棄物に分類されています。産業廃棄物の回収は自治体では行っていないため、法人が蛍光灯を処分する際は産業廃棄物の処分を専門業者に依頼する必要があります。 ただし、産業廃棄物を処分できるのは、法人の所在地を管轄している自治体から許可を受けている専門業者のみです。認可を受けているかどうかを確認せずに無許可の業者に依頼した場合は、依頼した法人も違法になる恐れがあるため注意が必要です。 産業廃棄物を処分する際は、各自治体から許可を得ている業者かどうかを確認した上で依頼するようにしましょう。適正な処分を行わないと罰則が科せられることも
産業廃棄物の処分を正しく行わなかった場合は、専門業者だけでなく処分を依頼した法人側にも罰則が科せられる恐れがあります。使用済みの蛍光灯を出す法人側には排出責任が義務付けられており、適正な方法で処分しなければ懲役や罰金などが科せられてしまいます。 また、罰則が科せられるだけでなく、企業は信頼を失うなど社会的な制裁を受けることになるでしょう。産業廃棄物の収集運搬・処分を依頼した専門業者が、適正な方法で処分しなかった罰則の一例は、以下のとおりです。 違反内容 罰則 無許可の業者に依頼して廃棄した 5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金もしくは両方 基準を満たしていない業者に依頼した 3年以下の懲役、300万円以下の罰金もしくは両方 マニフェストの交付を行わずに業者に引き渡した 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 使用済みの蛍光灯を処分する場合は、業者の選定を慎重に行いましょう。廃棄物処理法の改正とは?
産業廃棄物の処分方法や罰則などの規定が記されている廃棄物処理法は、2017年10月1日に改正されました。法改正後の変更点は、水銀を使用した製品の廃棄物区分が新たに設定されたことです。 水銀が使用されている蛍光灯は「水銀使用製品産業廃棄物」に分類され、水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得た業者でなければ、使用済みの蛍光灯を処理できなくなりました。 法人が蛍光灯の処理を専門業者に依頼する場合は、水銀使用製品産業廃棄物に関する許可を得ている業者かどうかの確認を行うことが義務付けられています。水銀使用製品産業廃棄物に含まれる製品は蛍光灯を始め、ボタン電池や工業用計測器類などが該当します。 出典:環境省「廃棄物処理法施行令等の改正について」(参照:2022-02-15)産業廃棄物として蛍光灯の処分を依頼する業者選びのポイント
悪質な業者に依頼してしまった場合、不当な廃棄方法で処分される可能性があります。依頼した法人側も罰則を科せられるため注意が必要です。以下では、業者を選定する際のポイントを解説します。自治体の許可基準を満たしているか
廃棄物処理法の規定によって、産業廃棄物の収集運搬・処分を行う業者は事業を展開している自治体から、産業廃棄物を取り扱うための許可を事前に取得しておかなければなりません。 例えば、東京都では収集運搬業務を行う際に蛍光灯などが割れたり、他のものと混ざったりしないような措置を義務付けています。また、水銀使用製品産業廃棄物を保管する際は、他の廃棄物と混ざらないように仕切りなどで保管場所の区分けを定めています。 廃棄物処理法の改正前から産業廃棄物の収集運搬・処分を行っている業者は変更許可申請が不要なため、依頼する業者が法改正後の許可基準を満たしているかを法人側で確認しなければなりません。 出典:東京都環境局「水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等への対応 」(参照:2022-02-15)契約書とマニフェストの作成に対応しているか
使用済みの蛍光灯を含む水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬・処分を行う際は、マニフェストの提出が不可欠です。マニフェストとは、産業廃棄物が適正な方法で処分されたことを証明するための書類です。 蛍光灯の処分を依頼する専門業者を選定する際は、廃棄物処理法の規定に従いマニフェストを作成しているかを確認しておきましょう。また、蛍光灯の収集運搬や処分を依頼した業者を明確にするためには、契約書を交わしておくことが大切です。 産業廃棄物の処分には契約書とマニフェストの作成は信頼できる産業廃棄物の処理業者を見極める上で欠かせない書類です。両方に対応している業者かどうかを確かめておきましょう。契約書とマニフェストの作成の対応の有無は、業者の公式サイトなどで調べることができます。産業廃棄物処分の実績は多いか
使用済みの蛍光灯を含む産業廃棄物を処分するためには、各自治体の厳しい基準を満たした業者に依頼しなければなりません。不当な方法で処分すれば業者に依頼した法人側の責任も問われてしまうため、適正な方法で蛍光灯を処分する業者を選ぶ必要があります。 中でも、産業廃棄物処分の実績が多い業者を選ぶことが大切です。産業廃棄物処分の実績が多い業者を選ぶ理由は、顧客からの評価が高く継続的な契約を交わしていることが推測できるためです。一般的に、対応が悪く信頼できない業者を継続して利用する法人はありません。長く処分業を行っていることは、信頼の高さを示す指標になります。 また、自治体から優良産廃処理業者認定を受けている業者を選ぶのも一つの方法です。優良産廃処理業者認定制度は、産業廃棄物処理業の中で優れた実績や能力があり、自治体の基準を満たしている業者を優良認定業者に認定するための制度です。
依頼する前に見積もりを取る
産業廃棄物の処分を依頼する場合は、事前に見積もりを取っておくことをおすすめします。見積もりを発行してもらわずに依頼すると、処理費用の他にどういった費用がかかるのかをあらかじめ把握しておけません。例えば、手数料が別途で発生する場合は、処理費用に手数料が追加された金額を請求されることになります。 蛍光灯(99ワット以下)の処理費用の相場は1本当たり200~300円程度や、1㎏当たり200円程度など、業者によって設定されている金額は異なります。また、蛍光灯の種類やワット数でも処理費用は変わるため、依頼する前に複数の業者から見積もりを取った上で依頼先を選びましょう。まとめ
法人が使用済みの蛍光灯を処分する際は、産業廃棄物の取り扱いに対応している業者に依頼する必要があります。ただし、蛍光灯には水銀が使用されているため、水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬や処分の許可を自治体から受けている業者かどうかを法人側で確認しなければなりません。 依頼した業者が適正な方法で処分しなかった場合は、依頼した法人側の責任も問われる可能性があります。信頼できる業者を選びましょう。この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。