産業廃棄物の処理方法について徹底解説
目次
事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合、その種類や重量に応じた費用を処理業者に支払うことになります。
事業者は産業廃棄物処理の最終責任を負っているため、悪質な処理業者に委託してしまうと事業者が罰則規定を受ける可能性も考慮しなければなりません。費用の安さだけで安易に処理業者を選ぶのではなく、法や規則を遵守してきちんと処理を行ってくれるところを選びましょう。
とはいえ事業者もビジネスをしている以上「産業廃棄物処理にかかる費用はなるべく抑えたい」と考えるのも当然です。
この記事では処理にかかる費用を抑えるポイントや、適切な処理業者を選ぶために確認しておきたい項目などを説明します。
産業廃棄物の処理の料金は処理業者によって異なる
事業者が産業廃棄物の処理を行う際、事業者自ら行うか、処理業者に委託するかどちらかの方法を取ることになります。
事業者が自ら行う場合、産業廃棄物の収集・運搬から中間処理、最終処分まで、すべての設備をそろえて自前で行うのは現実的に難しいでしょう。そのため、ほとんどの場合は専門の処理業者と委託契約を結び産業廃棄物の処理を委託することになります。
処理にかかる費用は産業廃棄物によって処理・廃棄方法などが異なるため、種類ごとにkgあたりの単価が決められています。この単価は処理業者ごとにそれぞれ異なる価格設定がされています。
産業廃棄物の処理にかかる料金(kgあたりの単価)は?
産業廃棄物の処理には、具体的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。一例として、弊社の料金表を記載します。
種類 | |
あらゆる事業活動に伴うも | 燃え殻 |
汚泥 | |
廃油 | |
廃アルカリ | |
廃プラスチック類 | |
ゴムくず | |
金属くず | |
ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず | |
鉱さい | |
がれき類 | |
ばいじん | |
特定の事業活動に伴うもの | 紙くず |
木くず | |
繊維くず | |
動植物性残さ | |
動物系固形不要物 | |
動物のふん尿 | |
動物の死体 | |
以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの |
出典:産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類等 | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
産業廃棄物の処理方法
産業廃棄物の処理方法は収集運搬と処分に分類され、処分には中間処理と最終処分があります。処理には「収集運搬」「中間処理」「最終処分」の3つの段階を踏まなくてはなりません。
1.収集運搬
収集運搬は産業廃棄物をトラックなどに積み込み、処分場へ運ぶことを指します。基本的には収集運搬に産業廃棄物を保管することは含まれません。収集運搬を事業として行う場合には産業廃棄物収集運搬業を営むための許可を管轄の都道府県に申請し、取得する必要があります。
2.処分(中間処理)
産業廃棄物の処理のうち、中間処理にあたるのは焼却炉や圧縮施設などで廃棄物を減量化・減容化・安定化・無害化・資源化することです。方法はとくに限定されていないため、選別、分級、薬剤処理、切断、混練、乾燥、脱水など多岐にわたります。収集運搬と同じく中間処理を事業として行うためには、都道府県に産業廃棄物処分業を営む許可を得なくてはなりません。
3.処分(最終処分)
最終処分は産業廃棄物処理の最後の作業です。中間処理が完了した産業廃棄物を土に埋める「埋立」と海に投棄する「海洋投入」の2つの方法があります。最終処分を行える場所は限られており、新たに処分を行う土地を確保するためには近隣住民の理解を得なくてはなりません。産業廃棄物の排出量をいかに減らしていくかが今後の課題となっています。
産業廃棄物に関わる規定と基準
産業廃棄物処理業者には守らなくてはならない基準があります。廃棄物処理法に則って規定されているため違反すると厳しい罰則が適用されるので注意しましょう。
責任の所在
原則として排出した産業廃棄物は自身で責任を持って処理を行わなくてはなりません。しかし、自身で処理できない場合には処理業者に委託することも可能です。委託の際には委託基準の規定に従い、基準の中で委託をする側と受ける側の責任を明確にします。
産業廃棄物の収集運搬について委託された事業者は産業廃棄物処理業の許可が必要です。許可については管轄の都道府県知事や政令市長から取得します。委託をうけた場合には、マニフェストに処理に関する情報を記載して産業廃棄物の排出事業者に返送することや、処理の実績を帳簿に記してしっかりと把握することなどの義務が生じるため、どのような義務が存在するのか理解しておきましょう。
処理の基準
産業廃棄物の処理に関わる基準には「収集運搬基準」「保管基準」「委託基準」の3つがあります。
収集運搬基準
収集運搬基準では、収集運搬中に産業廃棄物が飛散、流出しないようにすることや悪臭、騒音などに対して措置を講じることなどの「生活環境の保全義務」、産業廃棄物収集運搬車である証明を表示する「運搬車の表示義務」、事業者名や運搬する産業廃棄物の種類、数量を記した「書類の携行義務」が設けられています。また収集運搬のみならず処分も行う場合には処分基準も守らなくてはなりません。
保管基準
保管基準には産業廃棄物が発生してから運搬されるまで生活環境の保全に影響のないよう規定の通りに保管する義務が設けられています。規定されているのは保管場所の周りに囲いがあることのほか、産業廃棄物の保管場所として認められていることや産業廃棄物の種類などの必要事項を記した掲示板を設置することなどです。
委託基準
産業廃棄物の処理を事業者に委託する場合には委託基準に従います。委託基準では「委託契約書の締結」で産業廃棄物処理業者との責任を明確にし、「マニフェストの交付」で委託した産業廃棄物が契約に従って処分をされたのかを確認するなどの義務が生じるためしっかり確認しましょう。
産業廃棄物の処理には注意が必要
産業廃棄物の処理は生活環境を保全する目的で制定された廃棄物処理法に基づいているので、厳しい規定が設けられています。事業として産業廃棄物の処理を行うためには様々な許可の取得や義務を遵守しなくてはならないため、廃棄物処理法で規定されている内容についてしっかり理解しましょう。
京都市及びその近郊で産業廃棄物の委託処理を考えているなら、環境省が推奨する「優良認定事業者」の認定を受けている山本清掃までぜひ相談ください。
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この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。