産業廃棄物のがれき類について、処理方法や処理費用を解説
目次
建設現場では、大量にがれき類が排出されるケースもめずらしくないでしょう。建物の建設・解体などに伴って発生する「がれき類」は、産業廃棄物に分類されます。産業廃棄物は排出業者が法律に従って適切に処理しなければなりません。では、がれき類とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
本記事では、がれき類の特徴や判断方法について紹介するとともに、再生方法や処理費用についても解説します。
産業廃棄物「がれき類」とは
「がれき類」は通称です。廃棄物処理法上の正式名は「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」と規定されています。名前が長いため、通称名の方が広く使われるようになりました。
またコンクリートやアスファルトの破片を指すことが多いため、「コンクリートがら」「コンがら」という名前で呼ばれることもあります。
ここでいうがれき類とは、あくまでも産業廃棄物の分類上のがれき類です。災害時などに発生するがれきとは異なるので、使用する際には意味を理解した上で使い分ける必要があります。
がれき類に該当するものの例
法律の条文の中に出てくる「工作物」とは、建物・鉄道・道路など、人為的に地面に固定されているものを意味します。そのため、がれき類は工作物に由来するものです。具体的には、建物の建設・解体時に出たレンガ・コンクリートや、道路改修時に出るアスファルトなどが該当します。
コンクリートくずとがれき類は異なる
産業廃棄物に分類される20種類の中には、他にもがれき類と名前が似ている「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」という項目があります。特にコンクリートという名前を含むコンクリートくずは、基本的にはがれき類と同じものを指すため、紛らわしく感じられるでしょう。
コンクリートくずとがれき類の判断に迷った際は、法律の条文にもあるように「建設・解体工事によって生じたものか否か」が見分けるポイントです。排出されたコンクリート破片が建設・解体工事によって生じたものであればがれき類、そうでなければコンクリートくずと分類してください。
物質としては同じものであっても、排出される状況によって異なる産業廃棄物に分類されるので注意が必要です。
【具体例を紹介】がれき類の判断
がれき類の判断が難しいものの具体例を挙げて、判断のポイントや、がれき類に相当するのかどうかなどを説明します。
線路の砂利
すでに説明したように、鉄道は工作物に該当します。線路の砂利は鉄道の一部とみなされるため、砂利はがれき類に分類されます。
建設現場で出たアスファルト乳剤・防水アスファルト
アスファルト乳剤・防水アスファルトは、アスファルトに乳化剤を混ぜて取り扱いやすくしたり、アスファルト表面に防水処理を施したりするなどの目的で用いられます。アスファルトそのものではないため、がれき類ではなく産業廃棄物の「廃油」に分類されます。
製造業者が製品製造時に出したコンクリート片
生産された製品は工作物ではなく、製造は建設・解体ではないため、がれき類には該当しません。従って、製品製造時に排出されるコンクリート片は、別に分類される産業廃棄物「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」となります。
採石場で排出された不要な岩石
採石場で排出された岩石は、目的の鉱物を精錬した後、不要な物質(岩石)と分けられます。この不要な岩石は工作物ではなく、採石場も建設・解体現場には相当しないため、がれき類ではありません。鉱物精錬などの際に排出される不純物は、産業廃棄物の「鉱さい」に分類されます。
地盤改良工事で排出されたアルカリ性のかす
住宅建設の際、セメントを使用して地盤を補強することを地盤改良工事と呼びます。建設現場に該当はしますが、水和したセメントはアルカリ性を呈するため、排出されるアルカリ性のかすは、産業廃棄物の「汚泥」または「廃アルカリ」として処理しなければいけません。
「がれき類」はどのような用途に再生利用されるか
がれき類は、産業廃棄物の中でも3番目に排出量が多い項目ですが、リサイクル率は最も高く、9割以上が再生利用されています。一度に大量に排出される上に、組成が比較的単純なため、再生利用しやすいのがその理由です。
がれき類は破砕処理された後、再生砕石・再生路盤材・アスファルト合材などのリサイクル材に加工されます。再生利用できないがれき類の残りは、破砕された後埋め立て処理されます。
では、がれき類は具体的にどのような用途に再生利用されるのでしょうか。次でより詳しく解説します。
再生砕石(リサイクル砲石)
砕石とは、建築物の基礎を作る際に敷き詰められる小石のことです。通常は採石場の岩石を砕いたものが用いられますが、コンクリートを破砕して大きさをそろえた再生砕石も利用されています。
再生路盤材
道路舗装の基礎となる砂利のことを路盤材と呼びます。再生路盤材は、コンクリートやアスファルトなどのがれき類を40mmほどの大きさに粉砕処理して作られます。
アスファルト合材・再生骨材
アスファルト合材・骨材とは、コンクリートやアスファルトの原料となる砂・砂利のことです。道路工事で排出されるアスファルトは粉砕処理され、アスファルト合材・骨材として別の道路の舗装に再生利用されます。
がれき類の処分費用の目安
処理業者によって異なりますが、1kgあたり30〜80円、1m3あたり3,000円〜25,000円ががれき類の処分費用の相場となるようです。例えば株式会社山本清掃では、1kgあたり35円でがれき類の処分を行っています。(※2022年5月時点)
処分費用はがれき類の状態によっても変わってきます。がれき類に別の種類の産業廃棄物が混入していた場合、分別の手間がかかる分だけ費用は高くなるでしょう。
がれき類は不法投棄が多い産業廃棄物
がれき類は排出量が多い産業廃棄物ですが、不法投棄の件数もそれだけ多いのが現状です。要因の一つとして、再生利用はされやすいものの、そのための処理コストがかかってしまうことが挙げられるでしょう。
さらにがれき類は体積や重量がかさみ、大量発生してもトラックの積載量は限られてしまいます。
またリサイクルされる製品も安価で取引されることから、長距離輸送にコストが見合わないという問題もあります。こういったがれき類に特有の事情から、不法投棄は残念ながら中々減りません。
がれき類の不法投棄は犯罪です。有害物質が含まれているがれき類を不法投棄すれば、近隣の土壌汚染につながってしまうでしょう。がれき類から発生する粉塵によって大気汚染などの環境問題を引き起こしてしまう可能性もあります。
たとえ有害物質を含んでいないがれき類であっても、不法投棄が環境に与える影響は深刻です。
処理業者の選別は慎重に!
専門の処理業者に産業廃棄物の処理を委託する排出業者も多く存在します。しかし処理業者が不法投棄や違法行為をした場合、委託した排出業者の側にも罰則が科せられてしまいます。たとえ排出業者が法令違反を行っていなかったとしても、法的責任を追及されるので注意が必要です。
さらに近年の環境意識の高まりもあるため、処理業者の法令違反であっても、排出業者にも重大な社会的責任が問われるでしょう。産業廃棄物であるがれき類を処分する際は、信用できる処理業者を慎重に選ぶことが大切なのはいうまでもありません。
まとめ
本記事では産業廃棄物のがれき類について、特徴や判断方法、再生利用の用途などを中心に解説してきました。がれき類について深く理解した上で、法律に従って処理・リサイクルを行うことが排出事業者に課された義務です。そのためには処理業者の選定をしっかり行う必要があります。
株式会社山本清掃では、がれき類の収集運搬・処分に対応しています。山本清掃は、環境省が推奨する「優良認定事業者」に認定されていますので、安心して産業廃棄物の処理を委託いただけます。京都を中心とする近畿地方で産業廃棄物の処理業者をお探しの方は、山本清掃までお問い合わせください。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。