産業廃棄物が引き起こす問題と解決にむけての動きを紹介
目次
廃棄物処理法が施行されていますが、不法投棄は完全になくなったわけではありません。
この記事では、産業廃棄物に関する問題に興味がある人に向けて、適正な廃棄物処理が必要な理由を解説します。日本のゴミ問題の現状、そして、ごみを減らすための取り組みを行っている企業の実例もあわせて確認しましょう。
そもそも廃棄物処理法とは
生活や経済活動の中で生み出された廃棄物を適正に処理するための法律です。戦後まもなく、大量に生まれた廃棄物が社会問題化し、1954年に清掃法が制定され1970年に清掃法を引き継いで廃棄物処理法が制定されました。
廃棄物処理法では廃棄物の処理に関して、関わる人や事業者、国および地方公共団体の責務を細かく規定しています。
ちなみに廃棄物処理法は通称で、正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
一般廃棄物との違いを理解しよう
産業廃棄物は一般廃棄物と異なり、事業により排出されたごみです。事業活動によって何が産業廃棄物とみなされるかという違いはありますが、基本的には廃油やゴムくずなど、廃棄物処分法で定められた20種の廃棄物を産業廃棄物と呼びます。
一般廃棄物と産業廃棄物の大きな違いは、処理をする際の責任主体や処理方法です。一般廃棄物は、廃棄物が出た場所の市町村が統括的な処理責任を持つのに対し、産業廃棄物は排出をした事業者や処分をする事業者が処理責任を持つことになっています。
日本の産業廃棄物の現状は?
環境省が2020年に取りまとめたデータによると、2017年度総排出量は約3億8,354万トンでした。2016年が約3億8,703万トンであったため減少傾向といえます。
排出量の多い産業廃棄物の上位3位は、汚泥、動物のふん尿、がれき類であり、全体の8割以上を占めています。
また、ごみを埋立処分、海洋投入処分、再生することを最終処分と呼びますが、2017年の最終処分量は約970万トンとなっています。一方、再生利用量は約2億22万トンです。
日本で起こっている産業廃棄物関連の問題点
実際に日本が抱える産業廃棄物の問題点には、どのようなものがあるのでしょうか。具体的に3つ解説します。
不法投棄
環境省によると2018年の不法投棄件数は155件、不法投棄量15.7万トンでした。これに対して、2019年の不法投棄件数は151件、不法投棄量は7.6万トンで減少傾向にあります。
不法投棄のピークであった2000年頃よりは大幅に減少しているものの、完全に解決したわけではありません。
公害による人体への健康被害
人体に健康被害を与える公害の例としては、大気汚染や水質汚染などが有名です。
過去に処分場として使用された土地は、汚染の可能性を完全には取り除けません。そのため、不動産取引においては、最終処分場跡地であったことの説明が重要事項に含まれています。
最終処分を行う場所の不足
環境省の試算によると2019年末の時点で、最終処分場の残余年数は21.4年とされ、あと約20年もすれば限界に達すると考えられます。
新たな最終処分場については環境汚染の心配もあり、地域住民からの同意を得にくいという問題もあります。そのため、最終処分される産業廃棄物そのものを減らすことが大切です。
【実例あり】産業廃棄物の不適正な処理とは
現在抱える廃棄物処理の問題をふまえ廃棄物処理法をもとにさまざまなルールが設けられています。不適切な処理の例と罰則の実例を紹介します。
事例1:マニフェストに虚偽の情報を記載
廃棄物の処理には排出事業者が発行し、収集・運搬業者、処分業者に渡されるマニフェスト(産業廃棄物管理票)が必要です。しかし、そのマニフェストの虚偽記載があると罰則があります。
実際に、管理表の写しを交付者(排出業者)に送付しなかったため処分受託者が罪を問われ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となりました。
事例2:廃棄物の量による違反
産業廃棄物の量に関する規定はありませんが、虚偽の申請をすると罰則の対象になります。
廃棄予定の産業廃棄物の量が少ないことを理由に、本来運搬業者に委託しなければいけないところを宅配便で処分業者に送付したことで、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金の対象となった事例もありました。
【具体例あり】産業廃棄物を抑制する取り組みをしている企業
最後に、産業廃棄物を抑制する取り組みに力を入れている企業を3社紹介します。
ニチレイ
事業における自然環境への影響が大きかったニチレイは、「持続可能な資源循環の推進」をテーマに掲げ、グループ全体で環境方針を定めています。具体的には、廃棄物や汚染物質の削減、資源の再利用などを行っているそうです。
中期目標として廃棄物リサイクル率を99%以上に維持、2017年度には事業所外排出量45.2千トンのうち、リサイクル率は99.5%となっています。
富士通
富士通では、廃棄物も貴重な資源として捉える考えのもと、廃棄物の適正処理に力を入れています。資源を回収して、エネルギー源として再利用もしているそうです。
取り組みの実績として、たとえばグループ会社の新光電気工業株式会社では40トンもの廃棄物発生量削減を達成しています。
まとめ
産業廃棄物に関する規制は厳しくなっていますが、まだ問題の根絶にはいたっていません。実際、不法投棄などのルール違反で罰則を受けている業者がいます。一方で、地球環境を考えて産業廃棄物の抑制する取り組みに力をいれる企業も増えつつある状況です。
株式会社山本清掃は、収集運搬~中間処理、リサイクルまで一貫して依頼できる企業です。優良産廃処理業者の認定も受けているため、安心して産業廃棄物の処理を任せられます。スマホから簡単に問い合わせができるので、ぜひご利用をご検討ください。
この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。