産業廃棄物が再委託されたらどうすればいい?再委託の内容もふくめ解説
目次
産業廃棄物の処理では、排出事業者が産業廃棄物処理許可業者に委託することは認められています。しかし、委託された業者が別の処理業者に再委託することは、例外を除き原則禁止されているため注意しなければいけません。
本記事では、産業廃棄物処理の再委託について知りたい人向けに、再委託が禁止されている理由や例外として認められるケース、再委託基準の概要、再委託された場合の適切な対処法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
そもそも産業廃棄物の再委託とは
産業廃棄物処理の再委託とは、産業廃棄物の排出事業者から処理を委託された産業廃棄物処理許可業者が、その廃棄物の処理を他の処理業者に委託することです。この再委託には委託者である排出事業者の承諾が必要です。
本来再委託は禁止されている
本来、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)は、廃棄物処理の再委託を原則禁止しています。
一般廃棄物については廃棄物処理法第第七条第14項で、収集運搬業者はその収集・運搬・処分を、処分業者はその処分を、それぞれ他人に委託することを禁じる旨が記載されているのです。
また、産業廃棄物については廃棄物処理法第十四条第16項で、収集運搬業者はその収集・運搬・処分を、処分業者はその処分を、それぞれ他人に委託することを禁じています。
産業廃棄物の再委託ができない理由とは
産業廃棄物の再委託ができない理由には2つあります。
1つは廃棄物処理の許可制度の趣旨から外れるためです。廃棄物処理法第3条第1項では、事業者に事業活動で生じた廃棄物を自らの責任で適正に廃棄物を処理することを義務付けています。そのため、処理を委託する場合は、適切な廃棄物処理許可業者を選ばなければなりません。
しかし、再委託はこのような廃棄物処理の許可制度の趣旨から外れてしまいます。
もう1つの理由は、再委託を無制限に認めた場合、産業廃棄物処理の責任が不明確になるからです。不法投棄など不適正処理や無許可業者による処理につながる可能性も否定できません。
こうした背景があるため、産業廃棄物の再委託は原則禁止になっています。
「再委託基準」を満たしている場合は例外
再委託基準を満たしている場合は例外として認められています。その理由は、排出事業者が委託した収集運搬業者の車両や処分業者の施設が故障した場合など、緊急に再委託が必要になることがあるためです。
ただし、繰り返しになりますが基準を満たしていなければ、再委託はできません。
再委託基準の概要
産業廃棄物処理の再委託基準の概要は、以下の通りです。
・委託業者があらかじめ排出事業者に再受託者の氏名、名称、再委託が委託基準に適合していることを明らかにし、排出事業者から書面による承諾を受けていること。
・承諾の書面には、委託した産業廃棄物の種類と数量、受託者と再受託者の氏名・名称・住所・許可番号、承諾の年月日が記載されていること。
・受託者が再受託者に対して、委託契約書記載事項を記載した文書(委託契約書のコピーも可)を交付すること。
・受託者と再受託者は書面での委託契約を行っていること。
・排出事業者は、承諾書の写しを承諾した日から5年間保存すること。
委託後に再委託が発生した場合の対応方法とは
産業廃棄物の処理を処理業者に委託後、再委託が発生した場合の対応方法はどうなのでしょうか。
まず、受託者は委託者である排出事業者に対して、再受託者の氏名・名称、再委託が委託基準に適合していることを明示し、書面による再委託承諾を依頼します。
委託者は受託者から送られた書面で、委託した産業廃棄物の種類と数量、受託者と再受託者の氏名・名称・住所・許可番号、再受託者が再委託される産業廃棄物の処理業許可を持った業者であることを確認して承諾します。
そして、委託者の承諾を得た受託者は、再受託者と再委託契約を結ぶ流れです。その後、委託者との委託契約の一部が記載された文書を交付するとともに、委託者に再委託契約の書面の控えを送ります。委託者はこの書面の控えを5年間保管しなければいけません。
注意:勝手に再委託されるケースもある
注意しなければいけないのは、委託者の事前の承諾を得ることなく勝手に再委託される場合があるということです。
たとえば、収集運搬業者が車両を手配できず、知り合いの業者に緊急避難的対応をしてもらった場合や、グループの会社に運搬してもらったから再委託ではないと勘違いをしている場合です。
前述したような再委託に委託者である排出事業者が気がつくことは簡単ではありません。しかし、収集運搬業者の車両にかかれている社名や、マニュフェストに記載されている業者名が契約済みの会社でなければ再委託を疑う必要があります。
事前承諾なしの再委託が行われた場合の対応策
事前承諾なしで再委託が行われた場合の対応策ですが、まず取引をいったん中止し、契約している収集運搬業者と話し合って再発防止策や今後の対応を決めます。話し合ってもその収集運搬業者の改善が難しい場合は契約を解除します。
ベストは、産業廃棄物を引き渡す前に再委託に気が付くことです。産業廃棄物を引き取りに来た収集運搬業者が未承諾の再委託と分かった場合、その車両に待ってもらって、その間に契約業者と再委託業者の再委託契約をしてもらうか、一度帰ってもらって再委託契約をしてもらいます。
収集運搬業者に産業廃棄物を引き渡した後で未承諾の再委託と気づいた場合、排出事業者は法律違反には問われません。承諾なしの再委託に気づいたときは、隠ぺいしないで適切に対応することが大切です。
まとめ
廃棄物処理法は、産業廃棄物処理の再委託を原則禁止しています。しかし、例外として、再委託基準を満たしていれば再委託が可能です。
再委託の場合は、委託者は委託した産業廃棄物の種類と量、委託先と再委託先の氏名・名称・許可番号などを確認し承諾します。それを受けて、受託者と再受託者が再委託契約を結びます。
再委託は、委託者の事前承認なしで行われる場合もあるため、排出事業者は正しい対処法を知っておきましょう。
株式会社山本清掃は、収集運搬~中間処理、リサイクルまで一貫して依頼できる企業です。優良産廃処理業者の認定も受けているため、安心して産業廃棄物の処理を任せられます。スマホから簡単に問い合わせができるので、ぜひご利用をご検討ください。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。