産廃税(産業廃棄物税)とは?課税の仕組みを徹底解説
目次
2001年に三重県が導入をはじめてから2018年現在、27都道府県と1政令都市が導入している産廃税(産業廃棄物税)。その概要を理解している方は多くないのではないでしょうか。
この記事では産廃税の知識を深めたい方、産廃税についてわからないという課税対象の方に向けて産廃税の概要と課税の仕組みについて解説します。
産廃税(産業廃棄物税)とは
産廃税(産業廃棄物税)とは、排出事業者または中間処理業者に課される法定外目的税のひとつで、産業廃棄物の排出量や処分量に応じて課税されます。課税の有無や課税方式は自治体によって異なりますが、導入している自治体では産業廃棄物の最終処分量1トンあたり1,000円の課税が一般的です。
産廃税の仕組み
産廃税は産業廃棄物の排出抑制効果を高めるために、排出事業者を対象に最終処分場や中間処理施設に搬入するタイミングで課税。税収は産業廃棄物の排出抑制やリサイクル率の向上支援、不適正処理対策の強化など、循環型社会の実現のために使われます。
産廃税の課税方式と納税方法
産廃税の課税方式は「排出事業者申告納付方式」「最終処分業者特別徴収方式」「最終処分業者申告納付方式」「焼却処理・最終処分業者特別徴収方式」の4つです。課税額や自社処分の場合の課税については各自治体によって異なるため、必ず確認しましょう。
それぞれの詳細や導入している自治体について解説します。
排出事業者申告納付方式
産業廃棄物を最終処分場または中間処理施設に搬入する事業者を対象にした課税方式で、排出事業者が自ら納付する税額を申告して、各自治体に納付します。
課税対象 |
中間処理施設および最終処分場への産業廃棄物の搬入 |
納税義務者 |
排出事業者 |
導入している自治体 |
三重県、滋賀県 |
最終処分業者特別徴収方式
最終処分場に搬入される産業廃棄物の排出事業者および中間処理業者を対象にした課税方式です。最終処分業者が「特別徴収義務者」に指定され、産業廃棄物の排出事業者または中間処理業者が特別徴収義務者に納付し、特別徴収義務者が納付された税を取りまとめて各自治体に申告、納付します。
課税対象 |
最終処分場への産業廃棄物の搬入 |
納税義務者 |
排出事業者(中間処理業者を含む) |
導入している自治体 |
岡山県、広島県、鳥取県、青森県、岩手県、 秋田県、奈良県、山口県、新潟県、京都府、 宮城県、島根県、熊本県、福島県、愛知県、 沖縄県、北海道、山形県、愛媛県 |
自社処分の場合は「最終処分業者申告納付方式」として納付。青森県は「最終処分業者に産業廃棄物の最終処分を委託した者および自らその産業廃棄物の最終処分を行う者」に納税義務が課されます。
最終処分業者申告納付方式
課税対象 |
最終処分場での産業廃棄物の埋立 |
納税義務者 |
最終処分業者 |
導入している自治体 |
福岡県北九州市 |
焼却処理・最終処分業者特別徴収方式
焼却施設および最終処分場に産業廃棄物を搬入する排出事業者または中間処理業者を対象にした課税方式です。最終処分業者特別徴収方式と同じく焼却業者や最終処分業者が「特別徴収義務者」に指定され、産業廃棄物の排出事業者または中間処理業者が特別徴収義務者に納付、特別徴収義務者が納付された税をまとめて各自治体に申告、納付します。
課税対象 |
焼却処理施設および最終処分場への産業廃棄物の搬入 |
納税義務者 |
排出事業者(焼却処理業者を含む) |
導入している自治体 |
福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県、 宮崎県 |
搬入先によって税額が異なり、焼却施設に搬入した場合は1トンあたり800円、最終処分場に搬入した場合は1トンあたり1,000円です。
産廃税が非課税になる場合
産業廃棄物の再生利用や熱回収などの有効活用を行っている焼却施設については、産廃税の目的である循環型社会の実現に貢献しているとして、各都道府県知事が認定していることがあります。知事の認定を受けた焼却施設への搬入は課税されませんので覚えておきましょう。
例えば福岡県では、特例として以下の焼却場施設を非課税としています。
- 産業廃棄物を原料にした焼却施設
- 産業廃棄物の焼却熱を回収して有効活用する焼却施設
産廃税は循環型社会づくりへの取り組み
産廃税は産業廃棄物の排出抑制やリサイクル率の向上支援、不適正処理対策の強化などに使われる目的で最終処分場や中間処理施設に搬入した事業者に課せられる税金です。循環型社会実現のための取り組みとして、2018年現在では東北や中国、九州地方で導入されています。
特に産廃税に関わりがある方は、産業廃棄物処理の課題である発生・排出量の抑制を目的とした課税の仕組みを理解しておきましょう。
株式会社山本清掃は、京都市から優良認定を受けている産業廃棄物処理業者です。収集運搬から中間処分、リサイクルまで一貫した処理ができる点が強みです。信頼できる産業廃棄物処理業者を探している人は、ぜひご利用をご検討ください。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。