マニフェスト交付が不要なケースを紹介
マニフェストは、産業廃棄物を処理する際に、作成・交付が義務付けられています。しかし場合によってはマニフェストが不要になることもあるので、どのようなときに交付する必要がないのか、例外ケースを把握しておくことが大切です。
本記事ではマニフェストの交付がいらない、例外のケースを紹介します。記事の後半ではマニフェストの概要も解説しているので、産業廃棄物の処理を検討している方は、ぜひ本記事を役立ててください。
産業廃棄物の処理でマニフェストが不要になるケースとは
産業廃棄物を処理する際に、どのような場合にマニフェストの交付が不要になるのか、例外ケースを紹介します。
処理を都道府県に委託する場合
産業廃棄物の運搬や処分などの処理を都道府県に委託する場合は、マニフェストを交付する必要はありません。都道府県によっては産業廃棄物の処理を行っている場合があります。
都道府県に委託する場合は、対応しているか事前に確認しておきましょう。
湾岸管理者・漁港管理者に廃油処理を委託する場合
廃油処理を湾岸管理者・漁港管理者に委託する場合は、マニフェストは不要です。廃油処理を行っている湾岸管理者・漁港管理者は、国土交通大臣から廃油の運搬・処分事業の許可を取得しているため、マニフェストの交付は免除されます。
専ら業者へ処理を委託する場合
専ら物(もっぱらぶつ)の処分業は許可が不要なため、マニフェストを作成し、交付する必要はありません。専ら物とは、古紙や空きビン類、古繊維、くず鉄などを指します。
マニフェストは不要ですが、処理委託契約書は必要なので注意しましょう。
再生利用認定制度の認定を受けた業者に処理を委託する場合
再生利用認定業者に産業廃棄物の処理を委託する場合、マニフェストの交付は義務付けられていません。再生利用認定業者とは、環境大臣から再生利用認定制度の認定を受けている業者を指します。廃ゴム製品や廃肉骨粉などが対象です。
広域的処理認定制度の認定を受けた業者に処理を委託する場合
広域的処理業者に産業廃棄物の処理を委託する場合は、マニフェストを交付する必要はありません。広域的処理業者とは環境大臣から広域的処理認定制度の認定を受けた業者のことです。パソコンや消火器などが対象になります。
都道府県知事の指示を受けた業者に処理を委託する場合
都道府県知事の指示によって産業廃棄物の処理を行う業者に委託する場合は、マニフェストの交付は不要です。該当する処理業者は、都道府県知事の認可を受けていることになるため、マニフェストの交付は免除されます。
処理を国に委託する場合
産業廃棄物の処理を国に委託する場合は、マニフェストの交付は不要です。国の責任の元で産業廃棄物が処分されるため、マニフェストを作成して処理が正しく行われたのかを確認する必要はありません。
運搬用パイプラインなどの処理施設を用いる業者に委託した場合
運搬用パイプラインを含む処理施設を利用して産業廃棄物の処分を行う業者に委託する場合は、マニフェストを用意する必要はありません。運搬用パイプラインは処理施設に直結しているため、産業廃棄物の追跡は不要です。
産業廃棄物の輸出で相手国までの運搬を委託する場合
産業廃棄物を輸出する運搬業者に運搬を委託する場合も、マニフェストはいりません。輸出後の産業廃棄物の追跡は法律で義務付けられていないため、マニフェストの交付は不要です。
海洋汚染防止法の規定許可を受けている業者に処理を委託する場合
国土交通省から海洋汚染防止法の規定許可を受けている業者に、廃油の運搬・処分などの処理を委託する場合は、マニフェストの交付が免除されています。また外国船舶で出た廃油を委託する際も同様に、マニフェストの交付は不要です。
そもそもマニフェストとは
マニフェストとは産業廃棄物管理表のことです。産業廃棄物の収集・運搬、処理を委託するときに必要になる書類の一つです。上述した例外ケースを除き、産業廃棄物の処理を行う際はマニフェストを作成し、処理業者に交付する必要があります。
マニフェストは産業廃棄物の種類や重量、委託業者名などの必要項目の記載が義務付けられています。マニフェストの交付を怠った場合、法律に違反したとみなされて罰則が科されるため注意が必要です。
マニフェストが必要な理由
マニフェストの交付が必要とされているのは、産業廃棄物の不法投棄を未然に防止するためです。
マニフェストは産業廃棄物の処理は誰から誰に委託され、どのように処分されたのか、などを追跡する上で重要な役割があります。万が一、不法投棄などの違法行為が発覚した場合に、責任の所在を明確にするために必要です。
産業廃棄物が最終的に正しい処理が行われたのかを確認するのは、処理を委託した側の責任になります。産業廃棄物の処理を委託する際は、マニフェストを処理業者に交付し、正しく処分されたのかをしっかりと追跡できるようにしておきましょう。
電子マニフェストが進んでいる
従来、マニフェストの交付は紙でやり取りするのが一般的でした。しかし1998年から電子マニフェストの運用が開始され、多くの事業者が導入を進めています。電子マニフェストを導入した場合、紙よりも作成・管理がしやすくなります。
まとめ
産業廃棄物の処理を委託する場合、マニフェストの交付は不可欠です。マニフェストの交付を怠ると、法律違反になり、罰則が科せられてしまいます。
しかし上述したように例外ケースもあります。交付が免除されるケースに該当する場合は、マニフェストの作成・管理は不要です。
ただしマニフェストがいらない場合でも、処理委託契約書は必要になるため、注意しましょう。この記事を書いた人
山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。