コンクリートがらとは?種類や処分方法、費用について解説
目次
事業場などで発生したコンクリートがらを処分したい場合、どのような方法で処分すればいいのか、把握しておきたい方もいるでしょう。コンクリートがらは産業廃棄物に分類されており、処分方法は種類別に定められています。
そこで本記事では、産業廃棄物に分類されるコンクリートがらの処分方法を詳しく解説します。コンクリートがらの処分にかかる費用も合わせて説明しているので、ぜひ役立ててください。
コンクリートがらとは
コンクリートがらとは建設現場などで生じたコンクリートのがれきを指します。一般的に、コンがらと略称で呼ばれることも多いです。
廃棄物処理法ではコンクリートがらは「工作物の新築、改築または除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」に分類されています。
口頭で説明するときは、がれき類と略した言葉で表現されています。がれき類と聞くと自然災害などで発生する、がれきを想像する方もいるかもしれません。しかし産業廃棄物におけるがれきとは異なるので、注意してください。
コンクリートがらは産業廃棄物として処分されますが、リサイクル率が高いことで知られています。ただし建築や解体などの工事現場では、金属くずなどの他の品目が混在しやすいです。コンクリートがらを適切に仕分け・搬出を行わなければ処理コストが高額になる場合もあるので、十分気を付けましょう。
コンクリートがらと混同されやすい産業廃棄物
コンクリートがらと混同されやすい品目がいくつかあります。以下では、種類やコンクリートがらとの違いをくわしく解説します。
コンクリートくずとの違い
コンクリートがらと混同されやすい品目の一つに、コンクリートくずがあります。廃棄物処理法においてコンクリートくずは「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」と定義されています。例えばコンクリート製品を作る工程上で発生するブロックくずなどです。
一般的に解体時などに発生する廃棄物のことをがらといい、製造過程で出る廃棄物のことをくずと呼ぶ場合が多いです。コンクリートがらとコンクリートくずは呼び方だけでなく、排出方法もそれぞれで異なります。
どのようにコンクリートが排出されたのかによって、分類が変わってきます。コンクリートがらが排出されるのは、建設現場での建築工事や解体工事のときです。一方でコンクリートくずは、建設現場以外の場所で排出されたものと判断できます。
がら混じり残土との違い
がら混じり残土は、コンクリートがらと勘違いされる場合があります。がら混じり残土とは産業廃棄物のがれき類に残土が混ざり合ったものを指します。残土とは建設現場などで発生した土のことです。残土には紙くずや金属くずなどの副産物が多く混在しているため、産業廃棄物に分類されています。
がら混じり残土を処分する場合は、がれき類と残土に分別する必要があります。分別が難しい場合は、がら混じり残土として処理しなければなりません。
産業廃棄物「コンクリートがら」の処分方法とは
コンクリートがらは産業廃棄物に分類されていますが、ほとんどがリサイクルに利用できます。ここではコンクリートがらが排出から再利用されるまでの全体の流れを紹介します。
1.重機でコンクリートがらを砕いて、鉄筋など別品目に仕分けする
2.粗く砕いたコンクリートがらを固定式粉砕機でさらに細かく粉砕する
3.細かく砕いたコンクリートがらを磁力選別機に入れ、金属を取り除く
4.ふるいにかけて、コンクリートがらの粒度を調整する
5.さらに金属類を取り除く必要がある場合は、磁力選別機に再度かける
選別されたコンクリートがらは、再生骨材や再生砕石に活用されます。再生骨材や再生砕石などにリサイクルするためには、コンクリートがらの粒度はもちろん、強度などの規格に合わせて、粉砕やふるいによる粒度の調整、金属類の除去などの工程を行わなければなりません。
リサイクルされたコンクリートがらの活用方法
コンクリートがらは、粉砕・粒度の調整・金属類の選別などを行うことで、さまざまなものに活用できます。
再生骨材
コンクリートがらは再生骨材として再利用できます。骨材とはアスファルト・コンクリートを作るための材料になる砂や石を指します。
コンクリートを作る際に使用されるセメントは、液状から固形状に変化する際に発熱や収縮する性質があります。
このセメントの性質を抑える役割を担っているのが骨材です。
コンクリートがらを再利用した再生骨材でも、セメントの温度上昇や収縮を防ぐことができます。
そのためアスファルト・コンクリートを作るための骨材として使用されます。
再生砕石
砕石とは建築現場などの基礎工事で敷き詰める小石を指します。砕石は山の岩盤を砕く採石場などで作られるのが一般的ですが、再生砕石はコンクリートがらを再利用したものです。コンクリートがらから再生砥石を作り出せば、採石場で岩盤を砕く工程を省くことができます。
再生路盤材
路盤材とは道路や駐車場を舗装する際に基礎部分に用いられるものです。DIYで使用するケースもあるため、ホームセンターで見かけることもあるでしょう。
コンクリートがらやアスファルトを破砕したものを、再生路盤材と呼びます。
コンクリートがらの処理にかかる費用の相場
コンクリートがらの処理費用は、混じっている不純物の量や種類などで変わってきます。不純物が少ないほど、処理にかかる費用を安く抑えることができます。コンクリートがらの処理費用は明確な相場がありません。
不純物が少ない場合は5,000円で安くすむケースもあるでしょう。一方で不純物の量や種類が多い場合は、選別などの手間がかかるため、8万円以上になるケースもあります。ただし処理業者によって処理費用の価格設定が異なります。
コンクリートがらの処理費用をできるだけ安く抑えたい場合は、複数の処理業者に見積りを依頼し価格を比較検討した上で、依頼する会社を決めることが大切です。
またコンクリートがらの処分以外に収集・運搬にも費用がかかるので、その都度見積りを確認しましょう。
産業廃棄物の不法投棄は犯罪
コンクリートがらは産業廃棄物に分類されるため、適切な方法で処分しなければなりません。しかしコンクリートがらを不法投棄する事件は、絶えず発生しているのが現状です。コンクリートがらを含む産業廃棄物の不法投棄は犯罪とみなされるので、発覚すれば罰則を科せられることになるでしょう。
産業廃棄物は一般のゴミとして処分できないため、処分費用を支払って処理業者に依頼しなければなりません。産業廃棄物を排出した事業者は法律に沿った方法で処分されたのか、確認する義務があります。
コンクリートがらを処分する際は、国や都道府県から許可を受けている業者に依頼しましょう。
産業廃棄物の処理業者の選び方とは
不法投棄の事件が増えており、コンクリートがらなどの産業廃棄物を排出する事業者が間接的に犯罪に加担してしまう場合があります。産業廃棄物を適切に処理するためには、正しい処理を行う業者を選ぶことが重要です。
産業廃棄物の処理業者は、次の項目を参考にして選ぶことをおすすめします。
・国や都道府県から産業廃棄物を取り扱う許可を受けている
・過去に行政処分を受けていない
・処分費用が適正な価格で設定されている
・マニフェストにも対応している など
また処分費用が明確に提示されているかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
まとめ
コンクリートがらは、産業廃棄物に分類され、処分する際は法律に沿った適切な方法で行わなければなりません。コンクリートくずや、がら混じり残土は、コンクリートがらとは異なる方法で処理する必要があるので、それぞれの違いを把握しておくことも大切です。
コンクリートがらの不法投棄は犯罪になり、排出した事業者も責任を問われます。産業廃棄物を適切に処分してくれる処理業者を選び、ルールに従ってコンクリートがらを処理しましょう。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。