産業廃棄物の最終処分場について、種類や違いを解説
目次
産業廃棄物を処理するにあたり、「最終的にどのような処理がされているのか」「最終処分場ってどんなところなのかなどの疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
事業活動に伴って排出された産業廃棄物は、リサイクルやリユース、破砕、粉砕などのさまざまな方法で処理されますが、このような方法での処理が難しいものを埋め立て処分する場所が最終処分場です。
本記事では、産業廃棄物の最終処分場の詳細と種類について詳しく解説します。
産業廃棄物の最終処分場とは?
一般的にゴミと呼ばれる産廃物を大別すると、家庭ゴミなどの一般廃棄物と、事業活動に伴って生じる産業廃棄物の2つに分けられます。
産業廃棄物を処理する際には、「収集・運搬」「中間処理」「最終処分」の3つのステップが必要です。
中間処理とは、廃棄物の分別や粉砕、脱水、焼却、リユース、リサイクルなどを行うことで、これによって産業廃棄物の量を約半分に減らすことができます。
最終処分とは、中間処理を終えた産業廃棄物を埋め立てたり海に投棄したりすることで、環境保全の観点から安全に埋め立て処分できる構造物が産業廃棄物の最終処分場です。
産業廃棄物の最終処分場がある場所
産業廃棄物の最終処分場の多くは、人里離れた山間部や臨海部にあります。
その理由は、最終処分場を新しく作るには住民合意が必要だからです。
前項でも触れた通りに、産業廃棄物の最終処分とは、中間処理後に埋め立てたり海に投棄したりすることで、かつては海洋投棄も当たり前のように行われていました。
しかし、海洋汚染の観点から、海洋投棄は2007年より原則禁止となり、その後は最終処分場での埋め立て処分が基本となっています。
産業廃棄物の最終処分場の種類
産業廃棄物の最終処分場は、廃棄物処理法により「遮断型最終処分場」「安定型最終処分場」「管理型最終処分場」の3つに分類されており、それぞれの処分場には、埋め立てできる産業廃棄物の種類、最終処分場の構造基準や維持管理基準が定められています。
以下に、最終処分場の種類ごとの詳細を紹介しているので、産業廃棄物の排出事業者はしっかりと把握しておきましょう。
1.遮断型最終処分場
3種類ある産業廃棄物の処分場の中でも、環境保全の観点より最も厳重な構造になっているのが遮断型最終処分場です。
遮断型最終処分場では、有害な燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さいなどの、有害物質が含まれる産業廃棄物が処分されます。
そのため遮断型最終処分場には、以下の3つの構造基準が定められています。
・鉄筋コンクリート製による、処分場内部と外部の仕切設備のある貯留構造物であること。
・「埋め立て面積50平方メートル以下、埋め立て容量250立方メートル以下」とする一区画の規模設定
・地表水の流入を防止する開渠などの雨水排除施設を設置すること。
※出典:産廃メディア編集部「産業廃棄物の最終処分場とは?種類や基準について徹底解説」(2022-6-20)https://sanpai-media.com/column/1118
具体的には有害物質を自然から隔離するために、水密性のある鉄筋コンクリートの頑丈な建物でなくてはいけません。
また、処分場の維持管理基準として、有害物質を埋め立て処分していることから長期間の維持管理が必要となり、埋め立て処分後に外周仕切設備と同等の内部仕切設備により閉鎖することが定められています。
2.安定型最終処分場
その名前の通りに、有害物質や有機物の付着がなく、雨水などにさらされてもほとんど変化を起こさない安定型産業廃棄物が埋め立て処分されるのが、安定型最終処分場です。
ここで処分される廃棄物の種類は、安定5品目とも呼ばれている、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、コンクリートくず、ガラスくずの他、がれき類、および陶磁器くず、または環境大臣が指定したこれらに準ずる品目となっています。
処分場の構造基準としては、浸透水採取設備の設置が義務付けられています。
ただし、安定型最終処分場で処分される廃棄物は有害物質を含まず、ガスや汚濁水も発生せず環境汚染を生じさせることもないと判断されているため、処分場の内外を遮断するための遮水工の設置義務はありません。
処分場の維持管理基準については、以下の3点が義務付けられています。
・搬入物の展開検査を実施すること。
・低規定な浸透水の水質検査を実施すること。
・埋め立て処分後、土地を埋め立て処分以外のことに利用する場合は、50cm以上の土砂などで覆い開口部を閉鎖すること。
※出典:産廃メディア編集部「産業廃棄物の最終処分場とは?種類や基準について徹底解説」(2022-6-20)https://sanpai-media.com/column/1118
3.管理型最終処分場
安定型産業廃棄物でなく、遮断型最終処分場で処理する必要がない程度の有害物質含有量の産業廃棄物の埋め立て処分を行うのが、管理型最終処分場の役割です。
管理型最終処分場で処分される廃棄物の種類には、汚泥、紙くず、燃え殻、木くず、繊維くず、動植の死体、動植物性残さ、動物のふん尿、鉱さい、ばいじんなどが挙げられます。
処分場の構造基準には、以下の3点が義務付けられています。
・浸出液処理設備を設置すること。
・二重構造の遮水層を設置すること。
・地表水の流入を防止する開渠などの雨水排除施設を設置すること。
処分場の維持管理基準には、以下の3点が定められています。
・浸出水処理施設で浄化する放流水の排水基準
・発生ガス対策と管理
・埋め立て処分後、50cm以上の土砂などで覆い開口部を閉鎖
※出典:産廃メディア編集部「産業廃棄物の最終処分場とは?種類や基準について徹底解説」(2022-6-20)https://sanpai-media.com/column/1118
管理型最終処分場で処理される産業廃棄物には有害物質や有機物が含まれているケースがあるため、これらの基準は確実に満たす必要があります。
まとめ
事業活動に伴い生じる産業廃棄物には、有害物質や有機物が含まれていることもあるため、「収集・運搬」「中間処理」「最終処分」の3つのステップを踏んで適切に処分することが大切です。
中間処理で終えた産業廃棄物を、環境保全の観点から安全に埋め立て処分する役割を担っているのが産業廃棄物の最終処分場で、「遮断型最終処分場」「安定型最終処分場」「管理型最終処分場」の3つの種類があります。
京都市に本社を構える「株式会社山本清掃」では、京都市より一般廃棄物収集運搬業優良事業者の認定を受けて、京都府、大阪府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県において産業廃棄物の回収を行っています。
産業廃棄物の収集運搬から中間処理まで一社完結の低価格で対応しておりますので、産業廃棄物にお困りの場合はぜひ当社へご相談ください。
この記事を書いた人

山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。