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食品リサイクル事業系一般廃棄物

公開日:2021-09-16   更新日:2021-10-12

食品リサイクル法における問題とは|今後の在り方について

 

 
食品廃棄物の削減等を目指して制定されたのが「食品リサイクル法」です。食品関連事業者は、この法律に従って、食品廃棄物を減らすための努力をしなくてはいけません。

しかし、食品リサイクル法には問題点があることをご存知でしょうか。この記事では、食品リサイクル法における問題点や今後の課題などについてわかりやすく解説しています。

 そもそも食品リサイクル法とは

「食品リサイクル法」は、食品廃棄物の削減と有効活用を目的として、平成12年(2000年)6月に交付、平成13年(2001年)5月に施行された法律です。

 食品リサイクル法の対象となるのは、食品メーカー・飲食業・小売業といった食品関連事業者です。食品関連事業者は、食品廃棄物の発生抑制・減量、肥料や堆肥などへの再生利用に取り組むべきものと定められています。また、食品廃棄物を年間100トン以上排出する食品関連事業者は、発生量などを国に報告する義務があります。

 食品廃棄物とは、食べられる・食べられないにかかわらず、食品関連事業者の活動の中で生じる廃棄物のことです。具体的には、製造・加工・調理過程で発生した食品くずや食品の売れ残りなどが該当します。

 食品ロスの問題点とは

 まだ食べられるのに廃棄されてしまう、いわゆる「食品ロス」にはどのような問題点があるのでしょうか。項目ごとに説明します。

地球環境が悪くなる

 廃棄食品を焼却する際に発生する二酸化炭素や、埋め立てに伴って発生するメタンガスは、地球温暖化の原因となる物質です。食品ロスが増えてしまうと、結果的には地球環境に大きな負荷を与えてしまうでしょう。

 食料不足が発生する

 先進国では食料が廃棄される一方、世界では、およそ10人に1人が食料不足に苦しんでいるといわれています。世界の人口は今後も増加することが予想されているため、食品ロスは将来的に深刻な食料不足を引き起こしかねません。

食品リサイクル法における問題点

 食品リサイクル法の施行により、業界全体では、食品廃棄物の再生利用の実施率は向上しました。ところが、食品小売業や外食産業においては、少量の廃棄物が分散して発生し再生利用にコストがかかるため、十分な改善が見られない状態でした。

 こうした問題点を改善するために、平成19年(2007年)12月に改正食品リサイクル法が施行されています。

 食品リサイクル法は2015年にも改正されている

 食品リサイクル法は2015年にも改正されていますが、具体的には改正前・後でどう変わったのでしょうか。主な変更項目を比較してみましょう。

再生利用等実施率の目標値が設定された

改正食品リサイクル法では、業種ごとの食品廃棄物等の再生利用等実施率の目標値が見直され、平成31年度までの目標値が設定されました。業種ごとの改正前・後の目標値を表にすると以下のようになります。

業種

改正前の

目標値

改正後の目標値

(平成31年度まで)

食品製造業

85%

95%

食品卸売業

70%

70%

食品小売業

45%

55%

外食産業

40%

50%

再生利用手法の優先順位が変更された

食品廃棄物等の再生利用手法の優先順位が、1. 飼料化、2. 肥料化、3. 飼料化・肥料化以外の再生利用、4. 熱回収、5. 減量 の順に変更となりました。この改正では、肥料化が2番目に追加されています。

基準発生原単位が追加された

改正により、新たに5業種が追加され、基準発生原単位が設定されました。基準発生原単位とは、食品廃棄物の発生を抑制するために達成すべき目標値のことです。追加された5業種と設定された目標値は、下表のとおりです。

追加となった業種

目標値

その他の畜産食料品製造業

501kg/t

食酢製造業

252kg/百万円

菓子製造業

249kg/百万円

清涼飲料製造業(茶、コーヒー、果汁など残さが出るものに限る)

429kg/t

給食事業

332kg/百万円

kg/百万円:売上高百万円当たりの食品廃棄物発生量

kg/t:製造数量当たりの食品廃棄物発生量

改正に伴って発生した今後解決すべき問題点とは

改正食品リサイクル法は、食品関連事業者にとってより厳しい内容となりました。改正に伴い発生した問題点と今後の課題を掘り下げて考えます。

 業種によってはかなり目標値が高い

再生利用等実施率の目標値の表から、食品卸売業以外の4業種では、改正前より10%も高い値が目標値に設定されていることがわかります。特に外食産業では、目標値が平成23年度実績の2倍以上で、業種によって再生利用が進んでいない実態が明らかになっています。

企業は再生利用率を上げるために、自社で適切な対策を検討しなければなりません。

優先順位が高い再生利用を行うメリットがない

 優先順位が高い再生利用を行っても、企業へのインセンティブは設けられていません。一方で再生利用の努力をしないと、指導の対象となってしまいます。今後は、インセンティブを活用した新たな制度が設けられる可能性はあるものの、現行制度の下では、再生利用率の大きな改善は見込めないでしょう。

まとめ

食品リサイクル法は、食品廃棄物の量を抑える目的で制定された法律です。施行以来、再生利用等実施率や再生利用手法の優先順位など、いくつかの改正がなされました。しかし、業種によっては目標値が高めに設定されていたり、優先度が高い再生利用を行うメリットがなかったりなどの問題点も見られます。

企業が食品廃棄物の削減・再生利用を積極的に行いたくても、コストに見合わなければ削減量・再生利用率が上がらないのは当然でしょう。今後は、こうした食品リサイクル法の問題点を話し合い、解決していく必要があります。

この記事を書いた人

山本 智也

山本 智也代表取締役

資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。
不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。

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