2020年8月
語り継ぐということ
2020年8月24日小学生時分、広島に住む祖父母の家に泊まりに行くのが、夏休みの恒例であった。
ある年、祖父と市街地へ向かう路面電車に乗っていると、一人の初老男性が話しかけてきた。
「原爆が落ちたあと、この辺りの建物は何もなくなって…」というようなことを話して下さった
と思うが、35年以上も前のことなので、話の内容は失念してしまった。
ただ、次世代を担う子どもに、原爆のことを知ってもらおうと話しかけてこられた気持ちが、深
く印象に残っている。
8月6日は広島原爆の日。
原爆が投下されて、今年で75年。
高齢化が進み、被曝体験の語り部が減少する中、広島では被曝体験伝承者を養成するなど、被曝
体験を語り継ぐ努力がなされている。
原爆のことを知ってもらおうとする「熱意」まで含めて語い継いではじめて、人の心に響くだろ
うと思う。